葵わかなが語る、『わろてんか』てん役を通しての成長 「常に向上心をもって演技をしていきたい」

「松坂さんにはいつも助けられました」

ーー先日、松たか子さんが、『わろてんか』の主題歌「明日はどこから」の歌詞について、「笑いの裏にある涙を描いた」と話していました。これは、父の儀兵衛や兄の新一を亡くす、てんの境遇を表している部分のように思えます。

葵:生きていれば、周りの人が亡くなっていくのは、当たり前のことだと思います。描かれていないだけで、風太(濱田岳)やおトキ(徳永えり)のお父さん、お母さんもきっとどこかで亡くなるだろうし。今回のお話はてんのサクセスストーリーなので、成功している部分にスポットライトが当たっていますが、その裏にはいろんな失敗や苦悩があります。てんと藤吉は、経営者側の立場ですが、笑いを生み出す芸人さん側にはいろんな苦労や挫折があり、そこから笑いが生まれている。笑顔ってすごく単純で、分かりやすくて、誰もが持ってるものですが、その笑顔を周りに与えられる人になることはすごく難しいことです。『明日はどこから』には、そんな思いも表現されていて、とても素敵な曲だと感じています。

ーー夫・藤吉を演じる松坂桃李さんとは一緒にいる時間も長いと思いますが、どんな話をされるんですか。

葵:『わろてんか』は、てんと藤吉が、二人三脚で笑いを多くの人に届けていくお話です。だから、「一人でやっている」というプレッシャーを感じなかったのかもしれません。私が藤吉さんの気持ちが分からないように、松坂さんもてんの気持ちが分からないとおっしゃっていたんです。共演者の皆さんより10歳ほど歳が離れていることもあり、自分から何かを発信していくのに最初はとまどいがありました。でも、松坂さんが「てんはどうしたいのか教えて欲しい」といつも声をかけて下さって。「みんなの作品だけど、ヒロインの作品だから」とも言って下さって、いつも助けられていました。

ーー同じ立場で現場に臨んでいる。まさに、二人三脚ですね。

葵:だからこそ、周りの方々が大変だと思った時に、今度は私が少しでも力になれればと思って行動するようにしています。普段は全然そんなタイプじゃないんですけど、現場ではなるべく笑顔でいようと。本当に素敵ないいチームです。

ーー藤吉、風太、伊能(高橋一生)とてんを支える3人の男性がいます。三者三様の関係性が見ていて面白いです。

葵:てんちゃんは基本的に敬語で会話をしますが、風太にはタメ口で(笑)。敬語じゃないのが、風太、おトキ、妹のりんちゃん、あとは(息子)隼ちゃんだけなんです。幼馴染の風太にしか見せない一面がありますよね。今後、てんと藤吉さんが、風太や芸人さんたちを守らなければいけない展開があります。そこで頼りにするのが伊能さん。伊能さんは、すごく親しい間柄ですが、北村笑店の人ではないから、同じ立場で対等に話し合える。これから、てんちゃんがあることでショックを受けるんですが、その時にも彼女はみんなを守らなければいけないという思いで、弱さを見せないんです。でも、伊能さんにだけは弱音を吐ける。今後も、藤吉さん、伊能さん、風太、のてんを支える3人の男性との関係性はどんどん変化していきます。風太とおトキの関係性にも注目ですね。

ーー風太とトキのいじらしい関係が面白いです。

葵:面白いですよね! 私もドキドキしながら観ています(笑)。登場人物たちの関係性がどんどん変化していくのが本作の面白いところだと思います。藤吉さんと伊能さんも、最初はあんなに仲良しになるとは想像していなかったんです。

「誰かと関わることに勇気を持ちたい」

ーー藤吉が伊能のことを「栞くん」と呼びだした時はびっくりしました。話せる範囲で、今後の展開の見どころを教えてください。

葵:1月の放送ではものすごく大きいことが起こります。撮影はいつも楽しかったけれど、唯一辛かったのが、第16〜17週(1月15日〜27日)。“ぐらぐら”するような日々でしたが、だからこそてんと藤吉の関係がどんなものなのかが分かる週になっています。第18週(1月29日〜)からはキャストも増えるので、また新しい風が吹きます。ですので、第17週は『わろてんか』にとっても、てんちゃんにとっても、藤吉さんにとっても、北村笑店にとっても節目の週で、丁寧に演じきったつもりです。

ーー放送を楽しみにしています。最後に、葵さんは『わろてんか』を経て、どのような女優になっていきたいですか。

葵:お芝居に関しては、全然まだまだだなって思う日々です。『わろてんか』で学ばせて頂いたことを活かしていきたいともちろん思いますし、常に向上心をもって演技をしていきたいと思っています。今回の現場では、周りの方に本当に助けられて、誰かと一緒に作品を作っていくことの大切さを学ぶことができました。私は、チームプレイが得意なタイプではなくて、プライベートでも一人でいるのが好きでした。だけど、この作品を通して、一人じゃなくて二人で、二人じゃなくてみんなでやることの大事さがすごくわかりました。てんちゃんも、周りの人に対して心を開いていったから、沢山の方がついてきてくれたと思うんです。そんなてんちゃんを見習いつつ、今年は私も誰かと関わることに勇気を持ちたいです。その先に見えるものがあるんじゃないかなって。チャレンジは忘れたくないなと思います。

(取材・文=渡辺彰浩)

■放送情報
NHK連続テレビ小説『わろてんか』
出演:葵わかな、松坂桃李、広瀬アリス、徳永えり、大野拓朗、前野朋哉、大後寿々花、藤井隆、濱田岳、高橋一生ほか
作:吉田智子
音楽:横山克
平成29年10月2日(月)~平成30年3月31日(土)全151回(予定)
<総合>
(月~土)午前8時~8時15分/午後0時45分~1時[再]
<BSプレミアム>
(月~土)午前7時30分~7時45分/午後11時~11時15分[再]
(土)  午前9時30分~11時[1週間分]
写真提供=NHK
公式サイト:http://www.nhk.or.jp/warotenka/

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