『HiGH＆LOW THE MOVIE 3』脚本家・平沼紀久インタビュー【前編】「単に男の子たちが喧嘩をするだけじゃない」

HIROさんという筋が1本通っているところは強み

ーーそして、今回冒頭でおっしゃったように伏線の回収というか、ドラマシリーズから遡って確認したくなるような様々な仕掛けがありました。逆に回収されていない伏線、例えば村山と雨宮兄弟も因縁を匂わせていましたし。他にもドラマシリーズ以降出てきていないノボルの彼女、美保の存在も再登場の余地のある描き方をしていました。その後の展開においてフレキシブルに対応できるよう、予め様々な伏線は用意してあったのでしょうか。

平沼：村山と雨宮兄弟の話も考えてはあるんですけど、それはSWORD地区の外の話になってしまうので……。『END OF SKY』をやるにあたって、White RascalsとDOUBTの境界線をつくるのに美保を出す案もあったんですけど、男と女の描き方を掘れば掘るほどちょっと生々しくなりすぎて、「ハイローっぽさ」がなくなってしまうというか。きっとノボルの知らない美保もいるだろうし。そこは表に出さないでおこうという話になりました。

ーー「ハイローっぽさ」と呼ぶべきものを、作り手側全体が共有しているんですね。例えばコブラの拷問シーンで生コンを飲まれそうになるというくだりも、受け取り方によってはとても衝撃的だと思います。

平沼：そこは「まずそうなスムージーだな」っていう言葉を入れることでハイローっぽくしたんですよ。本当なら『新しき世界』の冒頭じゃないですけど、生コンを飲まされて殺されて海に沈められるようなものじゃないですか。そこにある種の防波堤みたいなものを作っていたんです。

ーー『HiGH&LOW』シリーズは前回のインタビュー（『HiGH＆LOW THE MOVIE 2』脚本家・平沼紀久が語る、“ユニバース化”する物語世界とその作り方）でも触れましたが、俳優自身のアドリブも多いと伺っています。膨大な伏線やアドリブに対して矛盾が生じないように、脚本で意識している部分はありますか？

平沼：そこはHIROさんがいるので。僕たちがいくらああじゃないこうじゃないと言っても、HIROさんという筋が1本通っているところは強みですね。

――HIROさんのビジョンがあってこその。

平沼：「それは面白いね」とか「これはこっちの方がいいよね」の上に、必ずHIROさんがいてくれるので共作しやすいというか。だけどHIROさんは結構すぐ発表したくなっちゃうタイプなので、キャラクターの秘密や意外な展開も「早く言いてえ～」「ちょっと待ってください！」みたいになったり（笑）。（後編はこちら）

（取材・文＝藤谷千明）

■公開情報
『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』
全国公開中
キャスト：
【ムゲン】AKIRA・青柳翔／井浦新
【雨宮兄弟】TAKAHIRO・登坂広臣／斎藤工
【山王連合会】岩田剛典・鈴木伸之・町田啓太・山下健二郎・佐藤寛太・佐藤大樹・八木将康・天野浩成・岩谷翔吾・山本彰吾
【White Rascals】黒木啓司・ 遠藤雄弥・稲葉友・栁俊太郎・廣瀬智紀・松田凌・西川俊介・西村一輝
【鬼邪高校】山田裕貴・鈴木貴之・一ノ瀬ワタル・青木健・清原翔・陳内将
【RUDE BOYS】窪田正孝・佐野玲於・ZEN・佐野岳／藤井夏恋・鈴木梨央
【達磨一家】林遣都・阿部亮平・小澤雄太・水野勝・田中俊介・守屋光治・井澤勇貴
【苺美瑠狂】楓・佐藤晴美・山口乃々華・城戸愛莉
【MIGHTY WARRIORS】ELLY・大屋夏南・野替愁平・白濱亜嵐・ANARCHY・LIKIYA・祐真キキ／NAOTO・関口メンディー
【九龍グループ・会長】津川雅彦・岩城滉一・岸谷五朗・加藤雅也・笹野高史・髙嶋政宏・木下ほうか・中村達也・早乙女太一
【九龍グループ・幹部】橘ケンチ・小林 直己・尚玄・小野塚勇人・渡邉紘平・武田幸三・夕輝壽太・白石朋也・荒木秀行・黒石高大
藤井萩花・坂東希・中井ノエミ・葉加瀬マイ
長谷川初範・堀部圭亮・矢島健一・斎藤洋介・渡辺裕之・池上幸平／豊原功補／YOU／小泉今日子／飯島直子
企画プロデュース：EXILE HIRO
脚本：平沼紀久、渡辺啓、上條大輔、Team HI-AX
監督：久保茂昭、中茎強
アクション監督：大内貴仁
企画制作：HI-AX
製作著作：「HiGH&LOW」製作委員会
配給：松竹
(c)2017「HiGH&LOW」製作委員会
公式サイト：https://www.high-low.jp/