健太郎×佐田正樹が語る、『デメキン』への情熱 健太郎「今思うとあれはガチ喧嘩でした(笑)」

 映画『デメキン』が本日、12月2日より公開されている。本作は、お笑い芸人・バッドボーイズ佐田正樹の半生を綴った同名実録自伝小説・コミックスを実写化した青春ドラマ。幼少期から“デメキン”と呼ばれ、いじめられていた正樹が、覚悟を決めて拳を握り、やがて福岡最大勢力の暴走族の総長へと登り詰める模様を描く。

 リアルサウンド映画部では、主演を務める健太郎と原作者の佐田正樹にインタビュー。本作への想いや、撮影秘話、ほかの不良を題材にした青春ドラマと本作の違いなどについて、じっくりと語ってもらった。

■佐田「バイクのシーンは実際の不良たちが観ても共感できる」

佐田正樹、健太郎

――これまでにも映画『クローズ』や『ドロップ』など、不良を題材にした青春ドラマは数多く製作されてきました。本作ならではの魅力を教えてください。

佐田正樹(以下、佐田):一番は、実際に存在する人物が登場する、実話という部分ですかね。『クローズ』は漫画原作であり、フィクションなので。『ドロップ』も品川(ヒロシ)さん自身のお話ではありますが、暴走族を題材にはしていないですよね。『デメキン』は、僕が乗っていたバイクをカラーリングし直したものに健太郎(正樹)が乗っています。特攻服も当時の写真から忠実にデザインを再現しているので、そういったリアルさを楽しめるのかなと。特にバイクのシーンは実際の不良たちが観ても共感できるような、あるあるネタを入れているんですよ。

 たとえば、エンジンを吹かす時。健太郎(正樹)がちょいちょい手を振っているんですが、実際にバイクに乗っていると手が痛くなって、ああいう仕草をよくするんですよね。あとは、バイクに乗っている時に「おおおおおぉい」って叫びながら「バイクのガソリンが切れそうやから、ちょっとガソスタ寄って~」みたいな会話や、「お前リザーブ切り替えろって!」「何? リザーブって」「お前リザーブも知らんねや!」とか、本当に走りの時によくしていた話をセリフに入れていただきましたね。

健太郎:僕は『デメキン』を漫画や小説の実写化という感覚ではなく、佐田さんの人生のお話を僕らが代わりに演じて伝えるんだ、という意識でお芝居をさせていただきました。そこが、ほかの作品とは最も違う部分だと思います。

――実際に佐田さんが着ていた特攻服も白ということですが、汚れは気にならなかったのでしょうか?

佐田:すぐ汚れるんですよ。だから、僕のお母さんが洗濯してくれてましたね。

健太郎:そのエピソードいいですよね。

佐田:ピシっとアイロンまでかけてくれて。めっちゃ、お母さんに怒りましたもん。「何しよんね!」「汚いから洗濯したよ」「お前特攻服は血で汚れてなんぼっぜ」「汚いもんだって」って(笑)。

健太郎:部活のユニフォームを洗う感じですよね(笑)。理解のあるお母さん、素敵です。

――健太郎さんは今回初主演ということですが、主演を務める上で何か意識したことはありますか?

健太郎:これまでに、主演の方がみんなを引っ張っていく姿を、何度も目にしてきたので、最初は僕に務まるのかと不安でした。でも、佐田さんが当時のことを楽しそうにお話されるので、そんな素敵な人生を歩んできたのなら、僕らも『デメキン』の世界を純粋に楽しむことが大切なんじゃないかと気づいたんです。だから、まずは主演である僕が、『デメキン』に対しての想いを誰よりも強く持とうと思いました。そうすれば、みんなも自ずと付いてきてくれるのではないかと。仲間たちのことを信じて、ただただ楽しんで正樹として生きていました。あとは、最初の本読みの時にみんなの前で、「付いてきてください!」って宣言しました。その時はそれしか術がなかったので。

――佐田さんは本作を観て、どう思いましたか?

佐田:僕は最初に、映像だけを繋いだ、音が入る前のものを観せていただいたんですが、うわっ、本当に映画になってる! って驚きましたね。僕が知らないシーンもたくさんあったので。お笑い芸人という職業柄もあってか、素直に“自分の映画だ”とは観れないんですよ。もうちょっと歳いったらわからないですが。撮影現場にもよく足を運んでいたので、僕も作り手側の一員と言いますか、どうしてもそっち側の目線になってしまうんですよね。だから、自分がウケるやろうなって思ってたシーンで、会場から笑いが起こると、めちゃくちゃ嬉しいんですよ。自分の映画というよりも、みんなで作った作品という想いの方が強いですね。もし僕が一般人だったら、また違う感情を持っていた気がします。

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