『HiGH&LOW THE MOVIE 3』評論家座談会【前編】 「理想的な終わり方だった」

加藤「源治戦にちゃんと決着がついた」

成馬:アクションで加藤さんが気に入ったシーンは?

加藤:個人的にはやっぱり、雨宮兄弟とムゲンの連合軍 VS 九龍の特殊部隊の戦いが良かったですね。超強いキャラクターVS多数の軍団の戦いは、もはや『HiGH&LOW』の名物といえますが、今回またしても完成度を上げてきたなと。また、源治戦にちゃんと決着がついたのも良かったです。鎖で刀をへし折って、さらに蹴りを入れてトドメを刺していて、明確にどちらが勝ったのかを見せている。実は『HiGH&LOW』の戦いは、タイマンで決着が付くことがほとんどなかったので、すごく新鮮でした。これが見たかった!って感じです。劇場に行った帰りに、周りの中学生くらいの男の子たちが「源治倒すシーンヤバかったね」って話していて、僕もつい、話に混ざりそうになってしまいました。

成馬:雨宮雅貴が地面を突き破るシーンもよかったですね。あれは縦の構図で面白いアクションが撮りたかったのかなと思いました。

加藤:あそこから1カットで撮っているから、すごいですよね。横の構図は『1』でやっているから、それとは違うものにしたかったんでしょう。あと、閉所での戦い。狭い中で縦に動いていく感じで、かっこ良かった。

西森:これまでのアクションはダンスみたいな華麗さが目立っていたけれど、今回は割と痛そうな感じというか、リアルで生々しさもあって今回もよりじっくり見たい感じでした。

加藤:やられる側の方の人たちがやたらと首から落ちたりとか階段を転がり落ちたりとか、痛そうな感じを強調していましたね。今回の映画のトーンとして、今までとは違うハードな戦いを見せようとしていたのだと思います。ちゃんとアクションだけで、殺しにきた連中たちとの戦いだということを示していて、物語性を感じさせました。

成馬:今回、無名街のアクションシーンが地下だったのは、ちょっと意外でしたね。無名街は高さのある建築物が多いのが良いところで、RUDE BOYSのパルクールがすごく活かせるんだけれど、今回は地下だったから、完全には活かしきれていない印象もありました。その分、奥行きのあるアクションはできていたと思いますが。

西森:確かに、ジャングルジムみたいなところから飛ぶシーンは少なかったですね。

成馬:高さをうまく使ったアクションだと、宮崎駿が『カリオストロの城』とかで面白いものをたくさんやっているんですけれど、実写だと難しいんですかね?

加藤:あれはやっぱり難しいと思いますね。場所の問題もありますし、普通に安全面から考えて危ない。あと、今回のストーリーでは無名街の爆破が重要なので、地下にする必然性があった。とはいえ、地下という場所でありながら、かなりありえないアクションも披露していたので、そこは評価できると思います。佐野岳さんが画面の奥の方ですごい高いところから飛んだりしていて、あぶねー!って思って見ていました。全体のアクションの尺は短めですが、クオリティ自体は下がっていないと思います。

西森:何回か見ると、いろいろ発見はありそうですよね。こんな動きしていたんだって。

加藤:あと、雨宮兄弟がテレビ版で披露していた得意技を映画の中でもやっていたりして、それはすごく良かったですね。シリーズを追っている人が見ると「出た!」って思う。

成馬:雨宮兄弟のカットは全部良かった。完成したって感じでしたね。バイクに乗ってるのを横からなめるカットも完璧。

西森:欲をいえば、九十九さんに車止め的な面白い技を期待してしまう自分がいました。

加藤:鉄板で日本刀をばーんって抑えたのは良かったですね。DTCの皆さんとの絡みも悪くなかったです。

西森:しみじみと「俺、琥珀さんといると飽きねえわ」っていうシーンとか。

成馬:あれはすごく良かった! あの腐れ縁感(笑)。

西森:最初はそんなに九十九さんに注目していなかったんだけど、いまは九十九さんが面白くてしょうがないです。もう一度、九十九さんだけ追ってシリーズを見返したいくらい。

加藤:シリーズを通じて酷い目にあってばっかりですよね。車に撥ねられたり、琥珀さんにボコボコにされたり。バラエティに富んでいる。

成馬:なんにせよ、琥珀さん、九十九さん、雨宮兄弟が突出して面白い感じになっていますよね。

(取材・構成=松田広宣)

■公開情報
『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』
全国公開中
キャスト:
【ムゲン】AKIRA・青柳翔/井浦新
【雨宮兄弟】TAKAHIRO・登坂広臣/斎藤工
【山王連合会】岩田剛典・鈴木伸之・町田啓太・山下健二郎・佐藤寛太・佐藤大樹・八木将康・天野浩成・岩谷翔吾・山本彰吾
【White Rascals】黒木啓司・ 遠藤雄弥・稲葉友・栁俊太郎・廣瀬智紀・松田凌・西川俊介・西村一輝
【鬼邪高校】山田裕貴・鈴木貴之・一ノ瀬ワタル・青木健・清原翔・陳内将
【RUDE BOYS】窪田正孝・佐野玲於・ZEN・佐野岳/藤井夏恋・鈴木梨央
【達磨一家】林遣都・阿部亮平・小澤雄太・水野勝・田中俊介・守屋光治・井澤勇貴
【苺美瑠狂】楓・佐藤晴美・山口乃々華・城戸愛莉
【MIGHTY WARRIORS】ELLY・大屋夏南・野替愁平・白濱亜嵐・ANARCHY・LIKIYA・祐真キキ/NAOTO・関口メンディー
【九龍グループ・会長】津川雅彦・岩城滉一・岸谷五朗・加藤雅也・笹野高史・髙嶋政宏・木下ほうか・中村達也・早乙女太一
【九龍グループ・幹部】橘ケンチ・小林 直己・尚玄・小野塚勇人・渡邉紘平・武田幸三・夕輝壽太・白石朋也・荒木秀行・黒石高大
藤井萩花・坂東希・中井ノエミ・葉加瀬マイ
長谷川初範・堀部圭亮・矢島健一・斎藤洋介・渡辺裕之・池上幸平/豊原功補/YOU/小泉今日子/飯島直子
企画プロデュース:EXILE HIRO
脚本:平沼紀久、渡辺啓、上條大輔、Team HI-AX
監督:久保茂昭、中茎強
アクション監督:大内貴仁
企画制作:HI-AX
製作著作:「HiGH&LOW」製作委員会
配給:松竹
(c)2017「HiGH&LOW」製作委員会
公式サイト:http://high-low.jp/

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