櫻井翔『先に生まれただけの僕』は“学園ドラマ”ではない? 第4話で始まった“学校改革”

 それでも、鳴海がサラリーマンから教育者へと姿を変えていくというようなスタンスだけは崩さない。なんて掴みどころのないドラマだろうか。不満を爆発させようとしていた3年生たちを体育館に集め、将来のヴィジョンについての話をするのだ。改革のプランに3年生が含まれていないことを謝罪しつつも、このようなことは社会に出れば普通にある、と半ば開き直ったように話を始める。

 そして、「どういうときに頑張るのか、どういうときに逃げるのか。線引きをしてください」と、上からではなく一歩前を歩いている先輩として彼らに語ることで、しっかりと彼らの心に届けるのである。それを象徴させるかのように、鳴海は生徒たちと同じ体育館の床の上で語りかけているのが印象的だ。真正面から、ひとりの大人として生徒に接していく。こういうシーンを観ていると、もっと鳴海と生徒との物語へ振り切って、社会派的要素を持ちつつも、純粋に“学園ドラマ”であってほしいと思わずにはいられない。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『先に生まれただけの僕』
毎週土曜日よる10時~
出演:櫻井翔、蒼井優、瀬戸康史、木南晴夏、森川葵、平山浩行、池田鉄洋、木下ほうか、多部未華子、井川遥、荒川良々、秋山菜津子、高嶋政伸、風間杜夫
脚本:福田靖
音楽:平野義久
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:次屋尚、高橋史典(ケイファクトリー)
演出:水田伸生 ほか
制作協力:ケイファクトリー
制作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/sakiboku/

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