森田剛も怖気付く? 『ハロー張りネズミ』テレビドラマの枠超えたオカルトミステリーの面白さ

 ちょっとこれは凄いことになっているではないか。まさかテレビドラマの枠でこれだけ強烈なオカルトミステリーに遭遇するとは思ってもいなかった。4日に放送された金曜ドラマ『ハロー張りネズミ』第4話「ママ、淋しかったの 前編」は、ここ何年かのテレビドラマの中でも極めて見応えのあるエピソードに仕上がっている。

 先週の放送で、依頼人だった四俵蘭子(深田恭子)が加わり、4人体制になった「あかつか探偵事務所」。そこに依頼にきたのは有名漫画家の北村(内田慈)。彼女が仕事に出ている間、幼いひとり娘(後藤由依良)しかいないはずの家に、誰かがいる気配があるというのだ。オカルティックな依頼に怖気付いたグレ(森田剛)を尻目に、五郎(瑛太)はひとりでその依頼に応えるべく調査を開始する。

 まず冒頭から怪しげな大学教授(古舘寛治)がトイレで大きな手に襲われる中盤のシーンを登場させ、今回の案件がいかに異様であるかを見せつける。時間軸に沿って物語が描かれ始めるとまもなく、一人で家に残された娘を監視するカメラの映像に度肝を抜かれる。リビングのドアが勝手に開いて、誰もいないところに向かって何かを話している娘の姿。そして、抱っこされるように中に浮き上がるという、『パラノーマル・アクティビティ』さながらの超常現象が展開するのだ。もうこの手のオカルト好きにはたまらないシーンの連続である。

 そんな『パラノーマル〜』な映像を見て、慌てて近くの仕事場から駆けつける五郎と北村は、キッチンにオムレツを作ろうとしている準備がされていることを目撃する。まだ料理も何もできないはずの娘が、果たしてどうやっているのか。そして、かつてオカルト雑誌を作っていた経歴のある南(リリー・フランキー)の紹介で霊能力者・河合節子(蒼井優)が登場し、ますますプライムタイムのドラマとは思えないほどやりたい放題なオカルトミステリーへと様変わりしていくのである。

 そもそもこれは探偵の仕事なのか? という疑問はさておき、この『ハロー張りネズミ』といえば、原作でも何度か登場するオカルトエピソードの人気がすこぶる高い作品として有名だ。探偵を描いた作品といえども、とても探偵が扱うものではない案件を、堂々と描き出し、“探偵モノ”というジャンルを自ら破綻させる点が実に痛快で心地良いのだ。

 今回新キャラクターとして登場した、霊能力者の河合節子。蒼井優が演じることで、なんだか朗らかな面と、ダークな面が表情と声のトーンひとつで柔軟にスイッチされ、想像以上に気味の悪さが漂う。原作では、書道家を兼業する中年女性だったから尚更に、彼女が登場した時の瑛太のリアクション同様「フレッシュな人がきて驚いています」といったところだ。

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