有村架純、ご飯大好き田舎少女姿にほっこり 朝ドラ『ひよっこ』第1話を終えて

 NHK連続テレビ小説(以下、朝ドラ)『ひよっこ』が、4月3日に第1話の放送を迎えた。主人公は、2013年度上半期に放送された同枠の『あまちゃん』でブレイクした有村架純。有村が、ヒロインとして朝ドラに戻ってくるということで、放送開始前から話題を集めていた。これまで朝ドラでは、『ゲゲゲの女房』や『花子とアン』など、実在する女性の物語をモチーフとした作品が多かった。しかし今作は、2011年上半期放送の『おひさま』でも脚本を務めた岡田惠和による“オリジナル脚本”である。

 東京がオリンピックで沸く1964年秋。高校三年生の谷田部みね子(有村架純)は、茨城県北西部にある奥茨城村で家の農業を手伝いながら、のびのびと暮らしていた。山間の小さな村では牛が川を渡り、鳥のさえずりが聞こえ、自然が溢れるのどかな風景が広がる。色づいた田んぼにみね子の祖父・茂(古谷一行)の姿が見えると、家の方から坂を下りながら「じいちゃんおはよ、ごめん寝坊した」とみね子が駆けてきた。茂は「あてにはしてねぇよ」と言い、みね子は「夕べの風、大丈夫だったけ?」と茂のそばに近寄って、優しい眼差しで稲の様子を見る。

 みね子は現在、母・美代子(木村佳乃)、祖父・茂、妹・ちよ子(宮原和)、弟・進(髙橋來)との5人暮らし。朝食の準備に取り掛かっている美代子の元に、みね子が「お母ちゃん! 卵5つだよ今日は」と駆けていくと、「ええ、すごいねぇ! いいことあったねぇ!」と微笑みかける。炊飯釜から「カチッ」とご飯が炊けた音が聞こえ、親子揃って「いい音だねぇ」と顔を向かいあわせるシーンでは、微笑ましい家族の朝の風景が描かれていた。

 みね子の父・実(沢村一樹)は、普段は家族の暮らしのために東京に出稼ぎに出ているため、稲刈りのために帰ってくるのを、家族皆が心待ちにしていた。みね子たちは、実が前回帰省した時に、兄弟3人に買ってきてくれた靴をとても大事にしている。しかし、進は遊んでいる最中に片方の靴を少し壊してしまい、みね子は美代子に知られる前に、針と糸で修繕しようとする。みね子が順調に縫い直していく様子に、ちよ子が「直りそうだね」と話しかけ、進も「うん」と安心の表情で見守っていた。しかし、勢い余ってみね子が「ビリッ」と破ってしまう。みね子は自分がやってしまったことに目を丸く見開いて驚いていると、進は涙目を浮かべて靴を見つめていた。しかし、みね子が「ごめんねぇ」と謝る様子を、美代子は物陰から、微笑みながらそっと覗いているのだった。

 第1話で描かれたのは、登場人物の人柄や、物語の舞台となる世界観だ。特にみね子が、どんな人々に囲まれ育ってきたのかがよく伝わってくる描写だった。みね子は毎日、遅刻しそうになりながらも、ご飯をおかわりする。残り1つの卵焼きを一度は妹と弟に譲るが、美代子からもらうととても嬉しそうに「ありがとう」と言って頬張っていた。幸せな食卓ですくすくと育ったみね子の人柄を表現するために、有村は実際に体重を5キロ増やして(3月15日、第1週完成試写会後の記者会見にて発言)演じている。少しふっくらとした有村の無邪気な笑顔は、純粋かつ優しい性格で、少しおっちょこちょいなみね子の魅力を引き出していた。また、みね子には助川時子 (佐久間 由衣)と角谷三男(泉澤 祐希)の2人の幼馴染がいる。毎日遅刻ぎりぎりのみね子を、時子は「おはようじゃないよ、おそようだよ。走るよ!」と引っ張り、三男は「はやくこう。毎朝毎朝何やってんだ! 飯おかわりするの我慢しろ」と言いながらも、バスを足止めしてくれている。マイペースなみね子が、優しい家族や友達に囲まれて過ごす様子は、視聴者にも温かく映ったのではないか。

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