欅坂46・平手友梨奈&長濱ねる、演技上達の鍵を握るのは嶋田久作? 『徳山大五郎』での成長を見る

 嶋田久作といえば、『帝都物語』で演じた加藤保憲の強烈すぎるインパクトが未だに消えない、日本を代表する個性派俳優だ。名バイプレーヤーとして、様々な映画やドラマで脇を固める彼が、この『徳山大五郎を誰が殺したか?』ではタイトルロールを演じている。そのタイトルの通り、第1話からずっと死んでいる状態で1クール駆け抜けるから、なかなか奇妙な役回りだ。

 

 第7話で徳山大五郎の双子の兄の大四郎としてにこやかな表情で登場したように、見た目のイメージを大きく覆すような役柄も難なくこなす一方で、今回の第9話の冒頭では独特の存在感を遺憾なく発揮する。平手友梨奈が夢の中で自分が犯人だと責め立てられるこの場面で、まるでゾンビのように起き上がって近づいてくる嶋田久作の不気味さは、他の役者では決して演じることができない凄みがにじみ出ている。

 

 そんなベテラン個性派俳優の存在は、演技未経験の欅坂46メンバーに大きな刺激となっていることは間違いない。9月11日に放送された『欅って、書けない?』で、メンバーの素性を知るためのスタッフアンケートが行われたが、その中で嶋田久作は律儀にも各メンバーについてアンケート用紙いっぱいにコメントを書いてくれていた。役柄同様に教室のロッカーから常に彼女たちの拙い演技を見守る担任教師なのだ。

 そのおかげもあってか、第1話からもう2ヶ月で、確実に彼女たちの演技は巧くなってきている。とくに平手と長濱ねるの二人は、出番も多く、物語の中心にいるメンバーだけあって、それが顕著に見受けられる。

 

 このドラマに関する記事で、欅坂46メンバーそれぞれに触れてきているが、この二人については再び触れておく必要があるだろう。第1話の時に真っ先に平手を取り上げてその無限の可能性を秘めた才能を絶賛した(参考:欅坂46平手友梨奈は女優としても逸材だ! 『徳山大五郎を誰が殺したか?』で見せた将来性)が、最初の頃に見せた堂々とした立ち居振る舞いはそのままに、後半になるにつれて微細な演技にも磨きがかかっている印象を受ける。

 

 冒頭の夢の場面でロッカーに入ったメンバーたちを見つめる表情から、嶋田久作ゾンビに怯み、叫ぶ。そこから起き上がったときの少しあどけなさの残る表情のギャップ。新たに校長として赴任した濱田マリ演じる御堂園を睨みつける表情、そして追い詰められたときに夢の場面との反復するような芝居。無表情で毅然とした振る舞いを見せ続けてきた彼女に、演技のバリエーションが着実に増えてきている証拠である。

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