欅坂46、長沢菜々香 & 米谷奈々未コンビの個性ーー『徳山大五郎』で見せたコメディリリーフの才能
常に長沢の横には米谷がいて、山形弁を翻訳して他のクラスメイトに伝えるわけだが、今回の序盤ではついに同じグループに属している上村莉奈も山形弁の解読に成功する。そんなユーモラスなやりとりから始まり、その後にはフランス語で話すノエルを見た土生瑞穂が、長沢に何と言っているのか訊ねる場面も登場する。長沢は「わがんね。おら山形弁、こいつフランス語」と返すのを見ると、ふと去年話題になった、フランス語に聞こえる方言を取り上げた宮崎県小林市の広報映像を思い出してしまった。日本語しかわからないと特徴的な方言もフランス語も同じように聞こえてしまうのだろうか。
長濱への裁判の最中、教室に戻ってきたノエルが全員のデッサンが進んでいないことに怒る場面で、突然米谷が流暢なフランス語で会話するところは、前述の土生と長沢のやり取りや、これまでの米谷と長沢の関係を踏まえるとなかなか面白みのある場面だ。米谷のキャラクターといえば、第1話では池上彰の番組で得た知識を披露したり、第4話の進路希望調査で東大を志望するなど、クラス一の秀才として描かれてきたわけで、今回さらなる肉付けがされたのだ。
しかし、『欅って、書けない?』を見ていても、長沢は少し訛りがある程度で、ここまでコテコテの山形弁ではないし、米谷も地味な優等生キャラとは程遠い。この二人は他のメンバー以上に、素顔と同じでも正反対でもなく、持ち前の個性を増幅させたキャラクターを与えられているのではないだろうか。それをきちんと、かつドラマ全体の雰囲気を整えるように演じられるというのは、見逃してはならない才能の持ち主だろう。
■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter
■番組情報
土曜ドラマ24『徳山大五郎を誰が殺したか?』
テレビ東京
毎週土曜よる0時20分〜
出演:欅坂46ほか
企画・原作:秋元康
(c)「徳山大五郎を誰が殺したか?」製作委員会
公式サイト:http://www.tv-tokyo.co.jp/tokuyama/intro/