『ペット』と『ルドルフとイッパイアッテナ』が映し出す、“人間”と“動物”の関係性
ペットフード協会が公表した2015年のデータによると、国内では推計で猫の飼育数約987万4千匹、犬の飼育数約991万7千匹で、犬の飼育数は2012年以降減少傾向にあり、猫はほぼ横ばい状態の様子。2015年の犬の平均寿命は14.85歳、猫は15.75歳で、2014年と比較すると犬猫共に寿命が延びており、犬は高齢期の7歳以上が54.6%と多いため今後の減少が予想されるが、猫は6歳以下が54.4%と若いため、数年内に猫の飼育数が犬を上回ることも予測される。ペット飼育の効用に関しては、犬猫飼育者共に高齢者のじつに51.6%が「規則正しい生活をするようになった、情緒が安定するようになった」と回答。夫婦関係では猫複数飼育者の64.5%が「夫婦の会話が多くなった」と回答し、犬猫飼育者共に「夫婦で過ごす時間が多くなった」と回答している。(参考:一般社団法人 ペットフード協会、参考:猫の飼育数、犬を逆転へ 年々差縮まる
このような結果を踏まえてみると、われわれ人間と動物たちはお互い助け合いながら、いいパートナーシップを築いていけることは間違いない。『ペット』ではペット同士の友情と、人間と動物のパートナーシップのあり方を、そして『ルドルフとイッパイアッテナ』では猫同士の連帯と、ノラ猫たちと人間の上手な関わり方を教えてくれる。これらの作品のテーマは生命の輝きで、ペットもノラも同じように“生きている”ことの大切さに気づかせてくれるのだ。日本では年々犬猫の殺処分数が減っていること、アメリカではペットショップでの生体販売のあり方に異議を申し立てた都市が60もあることから見ても、多くの人々が“命”はかけがえのないものだと感じているのは確かだ。
マックスがケイティと“ルームシェア”していると胸を張るように、そしてルドルフとイッパイアッテナが強い“信頼”と“友情”で結ばれているように、われわれ人間が彼らから学ぶことは多い。みんなが笑顔で暮らすためにも、人間と動物がお互い助け合いながらいい関係を築き、共存することの大切さをふたつの作品が教えてくれる。
■平野敦子
映画&猫専門フリーライター。著書に『新版 人に育てられたシロクマ・ピース』『ふたつの名前で愛された犬』(以上学研プラス)。猫びより等に寄稿中。年間約400本の映画を鑑賞。旅行中毒で、今後は岩室温泉と長野と北海道を訪問予定。死ぬ前に観たい映画は『哀愁』(笑)。
■公開情報
『ペット』
全国公開中
声の出演:設楽統(バナナマン)、日村勇紀(バナナマン)、佐藤栞里、永作博美、宮野真守、梶裕貴 ほか
日本版イメージソング:家入レオ「Brand New Tomorrow」(ビクターエンタテインメント)
製作:クリス・メレダンドリ、ジャネット・ヒーリー
監督:クリス・ルノー、ヤロー・チェイニー
脚本:ブライアン・リンチ、シンコ・ポール、ケン・ドーリオ
配給:東宝東和
(c)Universal Studios.
公式サイト:pet-movie.jp
『ルドルフとイッパイアッテナ』
全国東宝系にて公開中
声の出演:井上真央、鈴木亮平、八嶋智人、古田新太
原作:「ルドルフとイッパイアッテナ」「ルドルフともだちひとりだち」(斉藤洋・作、杉浦範茂・絵/講談社刊)
監督:湯山邦彦、榊原幹典
脚本:加藤陽一
配給:東宝
(c)2016「ルドルフとイッパイアッテナ」製作委員会
公式サイト:rudolf-ippaiattena.com