土屋太鳳、門脇麦の『まれ』コンビが再共演 『美しき三つの嘘』の注目ポイント

 角田光代の『平凡』は、宮本紀美子という主婦を主人公にした作品。結婚生活が20年を超えた紀美子はある日、テレビで中学・高校の同級生であり、現在は人気料理研究家として活躍する榎本春花を見る。平凡な日常が変わるかもしれないと考えた紀美子は、ツイッターを介して春花に連絡すると、すぐに返信は来なかったものの、ある日、春花から会いたいと連絡がくる。20年以上ぶりに会ったふたりだが、そこで春香が「人を殺したかも」と告白する……というのが物語の大筋だ。中心人物である紀美子と春香は、それぞれ鈴木京香と寺島しのぶが演じ、染谷将太や寺脇康文などが脇を固めている。この作品の見どころはやはり、紀美子と春香の奇妙な関係性だろう。夫との関係は冷め、退屈な毎日を送る紀美子に、連日テレビに出演する人気者の春香。異なる人生を歩んできたふたりが、20年以上ぶりに会い、どう心境を変化させていくのか。その心の機微に、ぜひ注目してほしい。また、監督の瀬々敬久についても特筆したい。瀬々敬久といえば、上映時間4時間30分を超え、全9章からなる映画『ヘヴンズストーリー』を作るなど、突飛なアイディアが目立つ監督なので、その斬新さを『平凡』でどう発揮するかに期待がかかる。

 ここまで、全3作品の見どころを書いてきたが、3人の監督には共通点がある。それは、構成が精緻であるということ。2時間近い映画作品でも、いっさいの中だるみがなく、心地よい緊張感を保ったまま物語を転がしていく。このような側面は、短編というフォーマットを通すことによって、さらに際立つのではないか。華やかな役者たちに注目をしつつ、制作側の技巧にも目を向けると、ドラマの楽しみ方も広がるはずだ。

 最後に、三浦友和についても書いておこう。三浦友和は、全3作品に刑事として出演するという、特殊な立ち位置から『女性作家ミステリーズ 美しき三つの嘘』に絡んでいる。3作品はそれぞれ独立した物語であり、個別に楽しめる作りにもなっているが、三浦友和演じる刑事は、その3作品を接続する役割を担っている。いわば、3作品が一連のドラマに見える仕掛けがあるというわけだ。この仕掛けが、どのように作られているのかも、『女性作家ミステリーズ 美しき三つの嘘』を楽しむうえでの大きなポイントとなるだろう。

(文=近藤真弥)

◼︎ドラマ情報
『女性作家ミステリーズ 美しき三つの嘘』
1月4日(月) 21:00~
出演者:永作博美、檀れい、村上淳、滝藤賢一、柄本明、土屋太鳳、門脇麦、村上虹郎、柄本佑、鈴木京香、寺島しのぶ、染谷将太、寺脇康文ほか
原作・脚本:山室有紀子・深川栄洋、加藤綾子、瀬々敬久
監督・演出:深川栄洋、廣木隆一、瀬々敬久
制作:フジテレビ
制作・著作:ドリマックス・テレビジョン
公式サイト:http://www.fujitv.co.jp/utsukushiki_3_uso/

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