気鋭のラッパー2人が話題のヒップホップ映画を語り合う

PUNPEE × OMSBが語る、『ストレイト・アウタ・コンプトン』の衝撃

 音楽伝記映画史上興収No,1を記録するなど、アメリカで社会現象と呼べるほどヒットした、ヒップホップグループ・N.W.A.の伝記映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』が、12月19日(土)より公開されている。グループの中心メンバーだったドクター・ドレーとアイス・キューブがプロデュースを務めた本作は、アイス・キューブの実子が参加しているほか、実際に彼らと関わりのあった人物がカメオ出演するなど、キャスト陣にもこだわり、当時の模様をリアルに再現していることでも話題だ。日本のヒップホップシーンにも大きな影響を与えたN.W.A.の伝記映画を、アーティストたちはどのように受け止めているのか。ラッパーとしてはもちろん、トラックメイクやプロデュースの面でも幅広くその手腕を発揮するPUNPEEと、N.W.A.に強い思い入れを持っているというSIMI LABのOMSBに、同作の感想を語り合ってもらった。(※本稿には一部、ネタバレ要素が含まれます。)

PUNPEE「N.W.A.は80年代後期の作品を掘るきっかけになった」

PUNPEE

ーーふたりがN.W.A.の音楽と出会ったのはいつですか?

PUNPEE:自分が知ったのは99年ぐらいなので、多分、15〜16歳の頃だったかな。だから、リアルタイムではないんだけど、アイス・キューブが映画の『ボーイズン・ザ・フッド』で俳優をしていたのは知っていて、そっちを先に意識したかも。世代的には、ドクター・ドレーのビートの方がリアルタイムで聴いていたと思う。『2001』とかね。

OMSB:俺はスペースシャワーTVでN.W.A.の特集をやっているのを観て、すごくハマりました。2002年頃、ちょうど『8 Mile』が公開された直後くらいで、当時はエミネムとかネリーがものすごく流行っていたんだけれど、彼らのヒップホップとはまた違うヤバさがあって。それから、アイス・キューブやドクター・ドレー、イージー・Eたちの活躍を知り、どんどんのめり込んでいった感じです。

PUNPEE:当時のブレイクビーツを使った感じとか新鮮に思えて、80年代後期の作品を掘るきっかけになったよね。そこから、ちょっと違うけれど、サイプレス・ヒルとかも聞いたりして。

ーーふたりにとっては、伝説のグループという感じですね。今回の映画を観て、どう感じましたか。

OMSB:メチャクチャ面白かったです! もちろん、シリアスな映画でもあるから、全部が全部ただ面白いというのではないけれど、イージー・Eが最後、どんな風にこの世を去っていったのかとか、ようやく知ることができたな……という感じで。

PUNPEE:彼らの内情を知ることができたことだけでも、すごく価値があるよね。ただ、見ていて辛そうだなって思うところもすごくあった。FBIにまでマークされて、裏でもあんなにメチャクチャだったら、まともじゃいられないよ。でも、楽しい時期もあったんだろうね。

OMSB:ライブ終わったあとの“濡れ濡れパーティー”とかは、楽しそうですね(笑)。

PUNPEE:普通にロックスターみたいだったね、ツアーバスの中の模様とか。あの規模感はリアルだった。どれくらいの頻度でパーティーはしてたんだろう?

OMSB:たぶん、音楽をやっているか、パーティーをしているかだったんじゃないですか? 彼らはセックスの経験人数も半端ないらしいです。AV男優並みだって。

PUNPEE:イージー・Eは6人との女性のあいだに7人の子どもがいたっていうしね。

OMSB:まじで種馬っすね。そういえば、DJイェラはその後、AV監督になったらしいです。それはそれでハスラーだなって思いました(笑)。

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