生田斗真、山田涼介が見せつけたジャニーズの実力ーー作詞家zoppが『グラスホッパー』を読み解く

 どんな名作映画にも賛否両論ある。その中でも原作ありきの映画は、意見が真っ二つに別れることが多い。何百ページとある小説を、2時間以内でまとめるのは至難の業だ。予算や時間の制限もあって、大事なシーンやキャラクターの特性が省かれてしまう。それは原作ファンにとっては苦痛にもなりうることだ。それでも映像化に挑戦する姿勢は勇敢だといえる。

 『グラスホッパー』は伊坂幸太郎氏にとって11作目の映像化となる著書である。140万部を突破するベストセラーだ。発売から11年が経ち、これまで何度も映画化の話は浮上するも、主要人物3人の物語がパラレルで進行する世界観を映像化することは困難とされ、実現されなかった。伊坂氏自身が望まなかったのだろう。だが、『脳男』や『犯人に告ぐ』の瀧本智行監督ならば、と快諾したのだ。さらに映画版のプロットを見て、原作の設定変更も受け入れたのだ。

 原作未読の人にとっては、充分楽しめる内容になっている。豪華な俳優陣、躍動感のあるアクション、色彩に富んだ色使い。そしてなにより印象的だったのは、物語の中心地になっている渋谷のスクランブル交差点だ。まるでその場にいるかのような臨場感は一見の価値がある。多少、グロテスクなシーンもあるが、殺し屋を描く上では避けられない描写であり、原作に比べればはるかにマイルドになっているので、臆さずに見てもらいたい。

 頼りない元教師の鈴木に生田斗真、自殺屋の鯨に浅野忠信、若き殺し屋の蝉に山田涼介が配役され、生田斗真は『脳男』とは全く違う情けないキャラクターを見事に演じきっている。もはや役者として確固たる地位を築いたといっても過言ではないだろう。その鈴木の存在を際立たせるのが、個性溢れる殺し屋の鯨と蝉だ。信号でいう「青、黄、赤」のように3人が揃って主人公だといえる。その中でもひと際輝いていたのが、山田涼介である。彼を最初に見たのは10年前。『青春アミーゴ』のPVだ。弱冠12歳だった彼はカワイイのひと言で、まさにアイドルと呼ぶに相応しい瑞々しさがあった。そんな彼が狂気を放ち、名優たちを食っていた。浅野忠信はその風貌から殺し屋役が容易に想像がつくが、山田涼介には難しいのでは、と先入観で思っていた。だが、実際は違った。美しい人間が、返り血を浴びながら人を殺していくシーンは、逆に恐怖感を助長していた。ちなみにSNSでは多くの女性が、彼にだったら殺されてもいい、と冗談を言っていたが、そんな気持ちも分からなくはないほど美しいのだ。ジャニーズというだけで、たかがアイドルと偏見を持たれることもある。しかし、生田斗真、二宮和也、岡田准一など近年のジャニーズ俳優たちの活躍は目を見張るものがあり、その演技を一度見れば偏った考えは自然と消えるだろう。

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