ネクストブレイク筆頭株か? 『俺物語!!』ヒロインに抜擢された16歳=永野芽郁の魅力

 

 20年以上前に人気を博した少女漫画の単行本のあとがきに、創作時の裏話としてこんな話が書かれているのを思い出した。企画段階ではキャラクターの男女設定が逆で、男性キャラが主人公になる予定だったが、担当編集者が「女性作者が描く男性キャラは女々しくなりがち」と言われたため、主人公を女性キャラに変えたのだと。結果としてその漫画は90年代を代表する人気少女漫画になり、台湾でドラマ化され、現在も続編が連載されているのだが、今考えると色々なところから指摘を受けそうな発言だ。とはいえ、やはり少女漫画となると、読者層に合わせて女性主人公が選ばれるのがひとつのセオリーであって、男性主人公の作品というとギャグ漫画やサスペンス風のもの、はたまた男女のダブル主人公を配したものが多く見受けられる。

 それを考えると、『俺物語!!』という作品は極めて特殊というか、前述のエピソードを完全に逆手に取って、数十年前の少年漫画でも描かれないような極端な男性主人公像を構築しているのだから、それだけで面白い。しかも、ギャグ漫画調でありながら、しっかりと青春恋愛ドラマを軸にした王道の少女漫画的プロットを継承しており、同じ河原和音原作による『高校デビュー』と同様に、映画にしやすいタイプの作品である。

 もちろんのこと、映画版『俺物語!!』は予告編やポスターの段階から、主人公剛田猛男を演じる鈴木亮平の変身ぶりに目を見張るものがある。30kg増量し、このあまりにも個性的なキャラクターをほぼパーフェクトに演じきったことは、彼の役者としてのキャリアにおいて非常に大きな一頁になるであろう。だが、いざ完成した作品を観てみると、主人公の圧倒的な個性にも負けないほど、ヒロイン大和凛子を輝かせることに成功しているのだ。

 

 男に絡まれているところを猛男に助けられる登場シーンから始まるヒロインの映し方は、もはや男性客を狙い撃ちしようとしているしか思えないほどあざとい。あざとすぎるのだが、にくめない。猛男の目線から映し出された、やや上目遣いの表情を画面いっぱいに映し出されると、その直後に猛男を追いかけて制服の裾をつかんでいるショットで画面が引くと、彼女のつま先が少しだけ上がっているのだ。その後も主人公主観による真正面からのショットを多用し、あたかも観客が、彼女に恋心を抱く主人公と同じ目線でヒロインを見続けることを意図しているかのように描き続ける。

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