「新しい才能が集まる場所に」 LINE Digital Frontierが100億円投資で目指す“Japan to Global”とは

 「LINEマンガ」などを運営するLINE Digital Frontierによるコンテンツ投資が加速する。10月22日に行った発表会で、同社は総額100億円を3年間で投資して、ウェブトゥーン(縦スクロール漫画)などを制作しているスタジオの支援や、多様なパートナーとのマンガ賞の開催などを行うと発表した。日本語の漫画がリアルタイムで世界の各地域向けにローカライズされる仕組みも整備。世界中が盛り上がる強力な作品が、日本から続々と生まれてくるような環境を作り上げる。


 「ドラマやアニメ、映画の世界では当たり前に実現されている世界同時公開を、漫画でも実現していきます」。発表会で、LINE Digital Frontierの森啓代表取締役社長が、グループのWEBTOON Entertainmentと連携してスタートさせた、グループ初の漫画の世界同時配信について説明した。

 「Global Drop」というプロジェクトに沿った施策で、すでに9月から『勇者の叙情歌(バラード)』という作品が、9カ国語で世界同時配信されている。発表会では新たに、日本のナンバーナインが制作を手がける『暗殺勇者の天星航路』を、この「Global Drop」のプロジェクトに乗せ、世界同時配信する予定であることが明らかにされた。

 LINE Digital Frontierでは、国内漫画アプリでダウンロード数1位(※)の「LINEマンガ」などを運営し、国内の読者に向けて発信してきた。北米をはじめ世界向けにも展開して、全世界に大勢のファンを抱えるようになっていたが、「Global Drop」のスタートによって、日本の漫画が持つ高いポテンシャルに、世界の読者がいち早く気付けるようになった。反応もダイレクトに得られるため、スピーディーなメディアミックス展開も期待される。
※=国内マンガアプリ(App IQ:Books & Comics)累計ダウンロード数 (2014年1月~2026年7月) / iOS & Google Play合計 / 出典:Sensor Tower

 ただ、こうした海外展開の活発化には、現地でも支持を得られるような強力なコンテンツが必要となる。そこで同社では、「Japan to Global」という方針を立て、オリジナルコンテンツ制作への投資、パートナー企業との制作強化、個人クリエイターへの投資という3つの施策を強力に推し進めることを決定。そのために、今後3年間で100億円の投資を行うことを、22日の発表会で明らかにした。

 『暗殺勇者の天星航路』を共に展開するナンバーナインは、2024年12月にもLINE Digital Frontierと資本・業務提携を行い、コンテンツの開発や人材のスキルアップなどに取り組んできた。今回発表になった新たな投資の中で、さらに関係を強化して、より強力なコンテンツを送り出していくことになる。

 発表会では他にも、ナンバーナインのようにウェブトゥーンを編集・制作・発信している多くの企業が、LINE Digital Frontierとの協業に参加することが明かされた。それぞれのパートナー企業が投資を受けて制作力を強化していくことで、コンテンツの質や量が向上し、「Global Drop」を通して世界に出て行くコンテンツが増えていく見通しだ。

 また、個人のクリエイターが作品をアップして、多くの読者に読んでもらえるようにする「LINEマンガインディーズ」の仕組みを、世界に広げていくことも明かされた。WEBTOON Entertainmentがグローバル展開している「Webtoon CANVAS」と連携させるもの。これまでは世界の7言語で個人などが手がけた作品が発信されていたが、日本語を加えた8言語で発信できるようになる。2027年中の実施を目指している。

 LINE Digital Frontierの森社長は、「YouTubeなど世界中に(さまざまな)表現ができる場所がある中、漫画を投稿できるプラットフォームを展開することで、新しい才能が参加してくれることに期待して、チャレンジすることを決めた」と説明。個人が世界へと出る機会を広げることで、強いコンテンツが生まれてくる可能性が広がることに注目していた。

LINE Digital Frontier 代表取締役社長の森啓

 翻訳にあたっては、クリエイターがAI(人工知能)を翻訳のみに利用し、データを学習はさせないなどの選択ができることを会見に同席していたWEBTOON Entertainmentのキム・ヨンス代表取締役が明言した。

 キム・ヨンス代表取締役は、発表会の冒頭で、「コンテンツ・プラットフォームとして何よりも重要なのは多様性。中でも特に重視しているのがローカル・コンテンツだ。特定の地域発のコンテンツだけでは、世界中のユーザーを感動させることはできない」と話し、広く世界からコンテンツを集める必要性を訴えた。

 その上で、「素晴らしい作品を日本国内にとどまらせず、世界規模で大きく展開していくための方法を共に模索していきたい」と発言。「Global Drop」のプロジェクトによって言語の壁が取り払われ、日本発のコンテンツが世界により速く届けられる意義の大きさをうかがわせた。

LINE Digital Frontier 代表取締役のキム・ヨンス

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