HiGH&LOW祭りはもう始まっているーー青崎有吾らが執筆『小説すばる』10周年特集がすごい!

HiGH&LOW祭りはもう始まっている

 2015年にEXILE TRIBEの総合エンタテインメントプロジェクトとして始動した『HiGH&LOW』。「全員主役」をキャッチコピーに掲げ、男たちの友情と熱き闘いを描いてきた大人気シリーズが、『LDH PERFECT YEAR 2026』真っ最中の今年、10周年の節目を迎えた。6月に行われた「映画『HiGH&LOW』10th ANNIVERSARYスペシャル舞台挨拶付き上映会」では、2027年にシリーズ最新作にして最終章となる映画『HiGH&LOW THE 新世界』が公開されることがサプライズ発表され、EXILE AKIRA、EXILE NAOTO、白濱亜嵐、川村壱馬、吉野北人の出演が明らかに。9月22日・23日にKアリーナで開催された、10周年を記念したスペシャルライブ『HiGH&LOW 10th Anniversary FEVER』では、八木勇征と武知海青も最新映画に出演することが発表され、映画公開に向けてさらに期待を煽った。長年作品を彩ってきた楽曲のパフォーマンスはもちろん、久しぶりに浴びた生の「行くぞテメェら!」(HiGH&LOWの名台詞)に、いまだ興奮冷めやらぬ人もいることだろう。

 そんなライブに先駆けて刊行されたのが、『小説すばる』(集英社)の「行くぞテメェら!『HiGH&LOW』10周年祭り」大特集号である。

 特集ページの先陣を切るのは、AKIRA(EXILE / EXILE THE SECOND)×川村壱馬(THE RAMPAGE)×平沼紀久(脚本家・監督・演出家)による鼎談。そもそも『HiGH&LOW』とは、物語の舞台であるSWORD地区に鎮座する5つのチーム(山王連合会・White Rascals・鬼邪高校・RUDE BOYS・達磨一家)を中心に、音楽とファッションを愛するメンバーで構成されたMIGHTY WARRIORSや、SWORD地区の完全支配を目論む九龍グループといった敵対勢力との抗争を描いてきた作品だが、AKIRAは『HiGH&LOW』の初期より、その地域一帯を支配していた伝説のチームMUGENの元総長・琥珀という重要な役を演じている。一方の川村は、SWORDの“O”である鬼邪高校と、伝説的不良コミック「クローズ」「WORST」(原作・髙橋ヒロシ)の世界観が交差する新シリーズ『HiGH&LOW THE WORST』で、鬼邪高番長の座を継承した主人公・花岡楓士雄を熱演。新作映画『HiGH&LOW THE 新世界』で久保茂昭とともに監督を務め、『HiGH&LOW 10th Anniversary FEVER』ではライブ演出を手掛けたのが、平沼紀久だ。3人の楽しそうな鼎談によると、新作映画には長年謎に包まれていたラスボス“バルジ”も登場し、これまで明確に関わることのなかった初期『HiGH&LOW』と『HiGH&LOW THE WORST』のキャラクター達が共闘する姿が見られるかも?とのこと。EXILE世代が基盤を築き上げた『HiGH&LOW』の物語は、Jr.EXILE世代によって『HiGH&LOW THE WORST』へと広がり、今再び繋がっていく――。最終章でありながら、さらなる可能性を秘めた最新作となりそうだ。

 そして、早くも新たな切り口で『HiGH&LOW』の世界を広げたのが、『HiGH&LOW』を愛してやまない作家たちによる読切短編集。青崎有吾が手掛けた『鬼邪高文化祭』(画・星野リリィ)では、鬼邪高校の初代番長・村山良樹を中心に不良達が文化祭準備に励む姿や、因縁の相手との闘い、達磨一家との共闘(名前を出さない方が良ければカット)などを表現。葉真中顕が手掛けた『カウント・アンド・ベット』(画・浅見よう)は、闇カジノを舞台に、本作におけるヴィラン・九龍グループの劉龍人の目線で、父親や共闘する九鬼源治(名前を出さない方が良ければ、“共闘する相手”に変更してください)への想いを綴っている。また、円居挽が手掛けた『轟2』(画・八田鮎子)は、鬼邪高校の人気キャラクター・轟洋介が、MUGENの九十九と共に(名前を出さない方が良ければカット)“バイク狩り”事件を解決する新感覚の推理小説。三浦しをん作『草原の自由な獣たち』(画・奥嶋ひろまさ)では、一人称“お兄ちゃん”の次男・雅貴とクールな三男・広斗からなる“雨宮兄弟”の休日をユーモアを交えながら描き、吉川トリコ作の『苺美瑠狂はベクデルテストをパスする』(画・雲田はるこ)では、山王商店街を拠点とするレディースチーム苺美瑠狂の秘められた過去が明かされた。それぞれ公式とは違うオリジナルストーリーだが、言葉遣いや立ち居振る舞いから実写のキャラクター達が浮かび上がるのは、作家陣のハイロー愛があってこそ。と同時に、小説だからこそ実現できたであろうゲストキャラの設定や、「なるほど!そう繋がるのか!」と思わず唸るような展開も控えており、読み応えたっぷりの内容となっている。

 そのほか、朱野帰子、芦沢央、阿津川辰海、織守きょうや、降田天によるエッセイも掲載。好きなキャラクターへの想いや『HiGH&LOW』との出会いなどが綴られており、共感できるポイントを探しながら読むのも面白い。コラムページには「祭りに備えろ!『HiGH&LOW』入門ガイド」なるものもついていて、『小説すばる』、最近気になっているという人までもハイロー沼の底に沈める気満々だ。すでに沼に沈んでいる10年来のファンにとっては、これまでの作品の流れや読切短編をより深く理解するためのガイドと言えるだろう。

 今後も怒涛の情報解禁に追われているうちに、映画『HiGH&LOW THE 新世界』が公開していそうだなと思う今日この頃――。劇中、達磨一家・日向紀久のセリフで「SWORDの祭りは達磨通せや」という名言があるが、日向さん、ハイロー未体験の読者のみなさん、HiGH&LOW祭りはもう始まっています。

■書誌情報
『小説すばる 2026年10月号』
価格:1,100円(税込)
発売日:2026年9月16日
出版社:集英社

 

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