【漫画】小六女子が自由研究で“亡くなった兄”について調べたら? 子どもの成長に触れる『点と線をつなぐ』
夏休みの自由研究、小学生の女の子・真砂は何について調べるか悩んでいた。そんな真砂が題材として選んだのは、自分が生まれる前に亡くなった兄について調べることだったーー。SNSに投稿されている『点と線をつなぐ』で描かれるのは、自由研究の過程でさまざまな人やその思いに触れる、小学生最後の夏の冒険だ。
本作は2026年の夏に開催されたコミティア(オリジナルの同人誌即売会)で頒布された作品なのだという。作中の印象に残っているシーン、コミティアに出展する意外な理由など、作者・晒粉さん(@sugokunetaiyo)に話を聞いた。(あんどうまこと)
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ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
晒粉:夏っぽいお話、夏休みに上映されるこども向けのアニメ映画のような「ひと夏の物語」を描きたいと思い本作を描きました。実は昔、作中に登場するお兄ちゃんが幽霊として登場するお話を考えていました。そのお話はネームまでつくって没にしていたのですが、出展予定の「コミティア」の締め切りに間に合わないなと思い、妹の真砂を主人公にするなど修正しながら本作を描きました。
ーーキャラクターの「靴」の描写が非常に印象的でした。
晒粉:登場人物の靴を鮮明に描くと、その人物のキャラクター性が出るかなと思っています。例えば牧先生が履いている靴はOn(オン)の「Cloud 6(クラウドシックス)」がモチーフです。この靴は靴紐がなくて履きやすいスニーカーなので、牧先生は「学校で働くならこの靴が楽だよね」と思い、この靴を選んだのだと思います。
ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンは?
晒粉:真砂が兄のことを調べているときの、段ボールに足を乗せているシーンです。血が繋がっている故人の荷物に足を乗せるーー。そんな行儀の悪さや薄情さ、小学生特有の絶妙な倫理観の欠如など、真砂の幼さを表現できた描写として気に入っています。
またお墓参りのシーンも印象に残っています。兄のお墓は仏壇形式の檀家のお墓にするのではなく、室内型のお墓にしました。私自身、初めて室内型のお墓参りに行ったときに印象に残っていたこととともに、真砂たちの家族ならば「お墓の掃除が楽そうだから屋内墓地にしよう」と考えるだろうと思い、このシーンを入れました。
ーーお兄さんが亡くなった背景など、直接的には語られない「余白」が多いことも本作の魅力だと思いました。
晒粉:本作のお話を考えるなかで兄の死など、家族の背景を入れたほうがいいのかと悩みました。でも物語のノイズとなってしまうこと、情報量が増えてしまい太っちょな話になってしまうなと思い、最終的にはカットしました。作中で描いた情報よりも、描かなかった情報のほうがめちゃめちゃ多いです。よく言えば余白ですし、悪く言えば情報不足かもしれません。
ーー漫画を描き始めたきっかけを教えてください。
晒粉:小学生の頃から絵を描くのが好きで、漫画制作は二次創作から始めました。オリジナル作品を描くようになったのは、自分が描きたいものを描きたいと思ったからです。
せめてフィクションの中では、困っていることに折り合いがついてほしい。キャラクターがどうしようもない感情や悩みを抱えながらも納得できる、折り合いがつくお話を描きたいです。
ーー即売会(コミティア)への参加や、作品を1冊の「本」にすることの魅力は?
晒粉:私にとって最も大きいのは「締め切りが発生すること」ですね。私は締め切りがないと、そもそも作品を作ろうと思わないかもしれません。強制的に締め切りが生まれることがコミティアに出展する魅力です。
また自分の好きなように1冊の本をお手製で作れること。作品だけでなく装丁などを全て自分で自由に作り上げられる点も魅力だと思います。本作の表紙はグラフィックデザイナーの方にタイトルロゴを発注しており、自分でも気に入ったものになったと感じています。「この人に頼みたい」と思って、本として形になっていくこと。一つひとつを自分で選びながら形にしていく過程は楽しいです。
ーー漫画制作の工程の中で、1番好きな作業はどこですか?
晒粉:作品が完成した瞬間、脱稿した瞬間がぶっちぎりで気持ちがいいですね。制作している最中は「楽しくない」と思いながらやっていることが多くて。完成した瞬間の感情は、喜びが爆発するというよりは「終わった」という感覚であり、例えるならばすごろくで一抜けした、いわゆる「あがり」の気持ちよさに近いです。脱稿する瞬間のために漫画を描いているところもあります。
ーー今後の目標や活動について教えてください。
晒粉:これからも読切作品を描いていきたいなと思っています。また今まで描いてきたお話は学生が主人公のものばかりだったので、キャラクターの年齢の幅を広げていきたいです。