トランプ政権を支える「テック右派」とは何者か 話題の思想家カーティス・ヤーヴィン初邦訳

 カーティス・ヤーヴィン著/大野和基訳『ネオ君主論――民主主義の敗北とテック右派の時代』(PHP研究所)が6月9日に発売される。

 本書は、第二次トランプ政権の誕生以降、米国で急速に存在感を強めている「テック右派」の思想的支柱として注目されるカーティス・ヤーヴィンが、自らの「暗黒思想」を日本人に向けて初めて解説する一冊である。

 ヤーヴィンは『ニューヨーク・タイムズ』『ザ・ニューヨーカー』『フィナンシャル・タイムズ』などに取り上げられ、論争を巻き起こしている人物。トランプ大統領、ヴァンス副大統領、ピーター・ティール、イーロン・マスクといった反エリート・テック右派と呼ばれる人々に影響を与え、その思想的支柱とされている。

 ヤーヴィンはかつてエンジニアとして日本で働いた経験があり、日本人に向けて自身の思想を伝えたいという思いから、今回日本語で初めて書籍を発刊する運びとなった。日本の統治構造や文化に独自の可能性を見出しており、日本を「“スタートアップ国家”として復活できる」と再評価している。

 ヤーヴィンは「暗黒思想」について、近代自由民主主義を根本から疑い、権威主義的で階層的な統治への回帰を志向する政治哲学だと説明する。ソ連崩壊の際に人々は西側世界という明確な代替モデルを見出したが、現代の西側世界ではリベラルな体制への疑念が生じても理想的な代替像を見つけることが難しいと指摘。特に現代米国の民主主義は、少数のエリートが支配する寡頭制に陥って失敗していると断言している。

 こうした体制への違和感や不安が「暗黒思想」を生み出したと分析し、新たな政治体制として、CEOが強力な権限をもつ民間企業のような「責任ある君主制」への転換の必要性を主張している。

■書誌情報
『ネオ君主論――民主主義の敗北とテック右派の時代』
著者:カーティス・ヤーヴィン
訳者:大野和基
価格:2,090円(税込)
発売日:6月9日
出版社:PHP研究所

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