【漫画】街中で妄想が捗る場所はといえば……? 日々に彩りを与えるほっこりストーリー『小川千雪の妄想録』

 いつでもどこでも心は自由――。そんなことを考えさせてくれる漫画が、書店員兼主婦の妄想を描いた漫画『小川千雪の妄想録』だ。

 Xに投稿された第1話では「もし10億円が当たったら?」とあれこれ考える主人公が描かれる。牧歌的な日常のなかで意外な結論に至る妄想ストーリーはどのように生まれたのか。自身も漫画を描きながら書店員を務める作者・ニシハラハコさん(@nishiharahaco)を訪ねた。(小池直也)

続きを読むには画像をクリック

『小川千雪の妄想録』(ニシハラハコ)

――Xでの反響はいかがですか。

ニシハラハコ(以下、ニシハラ):みんな同じようなことを妄想しているんだなと感じました。「既に10億円当たっているんじゃ?」という結論が意外だった、という声が多くて嬉しいです。

――「妄想」をテーマにしたのはなぜ?

ニシハラ:自分も普段やっていることなんですよ。ずっと色々なことを考えているので、最初に何を考えていたのか忘れるくらいです(笑)。

 これならネタに困らないなと。もともと大きなストーリーを考えるよりも日常にある普通ではないことを探るのが好きで。描いていて楽しかったです。

――その第一話でお金を題材にされたのも興味深かったです。

ニシハラ:主要な妄想だからだと思います。書店員をしながら描いているのですが、お金のために働いている訳ではないんですよ。午前中から漫画を描いて14時くらいに集中力が切れるので、その時間をリフレッシュしたり効率的に使えればなと。

 だからパートはエンタメ感覚。「休みが嬉しい」という感覚もないくらい楽しいです。お金が目的でなければ仕事は楽しめるんじゃないかなと。職場でも「10億当たってるんですよ。嘘ですけど」と話したり(笑)。

 ちょっとした気の持ちようで現実って変わると思うんです。「どう幸せを感じ取るか」は人生のテーマであり、自分にとってのライフハックみたいな感じですね。

――シンプルな作画も特徴かと思いますが、これについては?

ニシハラ:作画は必死ですね……。必死にやってシンプルな線になってます(笑)。でもリアルだったり、劇画的な絵にしたい訳でもなく、気楽に読めるものにできたらと。とはいえ、もう少し強度のある線にできたらと試行錯誤しています。

――『小川千雪の妄想録』は単行本が2025年4月に発売となりましたが、こちらの手応えはいかがでしょう。

ニシハラ:可愛い本ができたなと思いました。あと本作で商業連載デビューだったのですが、書籍化を見越した連載だと本になるまでのスピードに驚きました。ウェブ連載していた前作『ニシハラさんのわかりにくい恋』はすごい直しがあって時間がかかったので。

――書店員さんとして、ご自分の本が店頭に並ぶというのはどんなお気持ちですか。

ニシハラ:ずっと平積みされていて嬉しいですね。サインを求められることもありました。そのおかげもあり、私の店舗だけ自分の本の売上が高いんですよ(笑)。

 Xで「本屋さん好きや書店員さんはぜひ読んでください!」という感じでオススメしてくれている書店さんもいました。本屋さん目線で面白いと思ってもらえたのが嬉しかったです。

――やはり紙で読んでほしいと思います?

ニシハラ:思います。圧倒的に紙派。紙の方が読み手と本を遮る窓がない感じで、より没入できると個人的には思います。でも最近は電子と紙の両方を持っている人も増えてますね。

 本だと重いから、外でも読むためにデジタルで買うみたいな。この先「本を持つ」という行為は、音楽でいうレコードみたいな愛好家のものになっていくかもしれません……。漫画家としても書店員としても紙文化を盛り上げていきたいです。

――今後の展望は?

ニシハラ:ほんわか系の作品が多いので、少しシリアスだったり、違う質感の漫画にチャレンジしてみたいと思っています。あとは文章の作品もいつか作りたいです。


関連記事