【漫画】若い頃の顔に戻りたい……クリニック視点で描く美容整形のリアル『女の人生に整形って必要ですか?』
加齢で伸びた顔は、整形で元に戻せる? 美容整形クリニックを舞台に、患者やスタッフのリアルを描いたお仕事漫画『女の人生に整形って必要ですか? ~美容整形の裏側がカオスだった話~』のエピソードのいくつかがXに投稿されている。
整形ブームの今、それを信仰でも否定でもなく、ただ現実として描いていくなかで感じることとは何なのか。作画担当の金子べらさん(@bera_kaneko)に話を聞いた。(小池直也)
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――今作を投稿した経緯をお願いします。
金子べら(以下、金子):これまでは若い人向けのエピソードを中心に投稿していたんです。でも最近は40~50代の人にも整形が流行っているようなので、既婚だったり子育てが終わっている人に興味を持ってもらえるような話を上げてみました。
――反響はいかがでした?
金子:Xだとまずまずな印象だったのですが、Threadsで人気が出たので需要があるのかなと。
――アイデアはどのように着想されたのでしょう。
金子:基本は担当編集さんと話しながら方向性を考えています。お互い30代半ばなんですけど、私たちの世代だと二重や人中(鼻の下から上唇までの間にある縦の溝)をプラスするものより、加齢で失われた部分を戻す整形が気になるんですよ。
そのなかで浮かんできたのが「顔が伸びる」という悩み。それから原案・パチ美さんに「どういう施術があって、どんな境遇の人が受けたか」と話を聞いて描きました。
――金子さん自身も美容整形に興味が?
金子:私自身は興味はあるけど、そこまで熱心に考えたりはしません。小さな顔の違いとかも気付かないくらい疎いですね(笑)。自分が理解できるような内容で描けたら、美容整形のことを知らない方も楽しめるのかなと思って描いてます。
――作品を描きながら整形のイメージが変わったりは?
金子:実際にクリニックの院長先生などに取材してみると、興味深いなとは思うんですよ。でもやっぱり自分は見た目に無頓着なのでしていないので、骨切りなどの大きな手術を受ける方に100パーセント共感することは難しいですね。
実情を知れば知るほど「自分にはそこまでの根性がない」と感じてしまいます。だからどれだけ考えても普通以上に美しくなりたい、という渇望を描くのが難しくて……。ただ担当編集さんからも「フラットな目線で描いてください」とお願いされていたのもあり、これくらいの距離感がちょうどいいのかもしれません。
――これまで聞いてインパクトのあった整形理由は何でしょう。
金子:処女膜の再生手術の話は、自分のためではなく相手のためにする整形だから驚きました。彼氏の宗教がカトリックだったりとかで処女を装うみたいです。50~60代で受ける人もいるみたいですね。男性だと身長を伸ばす整形は多いと聞きました。
――登場人物はどのようにイメージを?
金子:主人公のさとみは友達をイメージしつつ、パチ美さんのアイデアも混ぜています。院長先生は経営者っぽい雰囲気の人がいいなと思っていました。
――作画や図解についても意識していることなどがあれば教えてください。
金子:まず描きやすいのが一番(笑)。あとは美容の話なので、顔の違いがわかる範囲で描き込んでいますね。図解については前作も説明が多い作品だったので慣れていた感じです。
――なぜここまで美容整形が注目されているのだと思います?
金子:クリニックを取材したときは「前から流行っていたけど、ダウンタイムを取りやすくなったからか、コロナ禍で景気がよくなった」という話をよく聞きました。
個人的には韓国ブームの影響も強いと思います。私も好きでしたが、ずっとK-POPアイドルを見ていたら「自分もしたい」と考えたくなる気持ちになるんじゃないかなと。あとはコロナ禍以降、マッチングアプリが流行ったのも大きい気がします。
――なるほど。
金子:「人中が~」とか「涙袋が~」、「鼻の横にある骨のでっぱりが~」、「顎がない」など、顔を見る解像度が上がってますよね。メイクでごまかせない土台の話ですし、一度やり始めると沼。リスクの少ない二重が一番多いそうですが、その後1~2カ所で止めてる人は少ないです。
――今後、本作はどのように描いていきますか。
金子:最後まで、整形したい側とよくないと思う側のどちらの味方にもならずに終わりたいです。