消滅の危機に瀕する世界の文字体系83種類を解説 『絶滅しそうな世界の文字』刊行へ

 『絶滅しそうな世界の文字』(ティム・ブルックス著/黒輪篤嗣訳/河出書房新社)が10月28日に発売される。

 本書は85〜90%が消滅の危機に瀕しているとされている世界の文字体系のなかから、83種類の文字体系と、それぞれが宿す物語、歴史、現在の状況を概説した書籍。

 ごく少数の宗派によってのみ使用される古代の中東の聖なる文字から、21世紀になって文化的伝統を存続させるために新しく考案されたアフリカの文字。駱駝に押される焼き印を元にしたスーダンの文字から、女性同士の秘密の会話に使われた中国の辺境の文字まで、それぞれの文字が持つ文化を解説しながら、それぞれの文字が辿ってきたドラマを紹介。

 「夢で啓示を受けた文字」「奴隷貿易の暗号だった文字」「民族の独立の象徴としてつくられた文字」「駱駝に押される焼き印を元にした文字」「大国の抑圧で消滅危機にある文字」「宗教儀式のときだけに使用される文字」「一度は弾圧によって消滅しながら子孫たちが復活させた文字」「シャーマンのための文字」などーー。

 文字をつくった人々と、ときには命がけでその文字を守ろうとした継承者たちの情熱が収録される。

■プロフィール
著者:ティム・ブルックス(Tim Brookes)
英国に生まれ、英国で教育を受ける。2010年に絶滅危惧文字プロジェクトを立ち上げる以前は、ギタリスト兼歌手兼作詞者、サッカーの指導者、ツアーガイド、新聞配達員、ウェイター、英語の教師、フリーランスのライター兼エディター、タバコの葉の収穫作業員をしていた。1980年からは、米国の中でも米国の一部とは言いがたいバーモント州に住んでいる。

訳者:黒輪篤嗣 (くろわ・あつし)
翻訳者。訳書に、ヤーギン『新しい世界の資源地図』、リー『読みだしたら止まらない 超凝縮 人類と経済学全史』、チャン『経済学レシピ』、バジーニ『哲学の技法』、ボウカー『世界の宗教大図鑑』など多数。

■書誌情報
『絶滅しそうな世界の文字』(原題 An Atlas of ENDANGERED ALPHABETS: Writing Systems on the Verge of Vanishing)
著者:ティム・ブルックス
訳者:黒輪篤嗣
価格:5,390円(税込)
発売日:2025年10月28日
出版社:河出書房新社

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