世界を魅了する日本の香りを特集『Discover Japan』時代をよりよく生きるためのヒントも

 『Discover Japan(ディスカバー・ジャパン)』 2025年5月号「世界を魅了するニッポンの香り」が発売された。

 1400年以上の歴史がある日本の香り文化。その始まりは、仏教伝来とともに入ってきた香木による“祈りの香り”だった。その後、平安貴族の文化や香道の成立、香水文化との融合を経て、現代まで脈々と受け継がれている。そしていま、香りの可能性への期待が世界的に高まっている。科学的に人間の五感の中でも未知の部分が多いのが嗅覚だったが、近年急速に研究が進んでいる。世界でも類をみないほど長く文化として発展してきた日本の香りには、これからの時代をよりよく生きるためのヒントがありそうだ。

 自分らしいベストなパフォーマンスを発揮するための秘密は香りにあり。香りをどのように暮らしに取り入れているのか、俳優や世界で活躍するアスリート、クリエイター、暮らし上手な人々に伺った。

 約1400年前、仏教とともに日本に伝来した香木。以来、祈りの儀式や、雅な貴族文化、武家の生きざまを語るもの、大衆文化のひとつとして、日本では時代に合わせて、香りの文化を発展させてきた。香りを生活の一部として身にまとい、自分の想いを伝えた平安貴族のエピソードや、時の権力者が求めた伝説の香木「蘭奢待(らんじゃたい)」など、さまざまな香りの逸話とともに、絶えることなく受け継がれてきた日本の香りの文化をひも解いていく。

 茶道や華道と並ぶ三大芸道のひとつ・香道は、足利義政の時代の東山文化の中に成立した。香木を炷(た)いて立ち上る香りを鑑賞する芸道だ。今回は、そんな香道の流派のひとつ・御家流の三條西堯水宗家にその魅力や愉しみ方を伺った。また、実際に香道を体験するときの作法や愉しむためのポイントもたっぷりと収録。香木の香りに深く癒される日本の香りの世界を体験してみては?

 2025年で創業450年を迎える香りの老舗企業「日本香堂」グループ。同社は、フランス「ESTEBAN」社をはじめとする国内外の13社を傘下に収め、香りの伝統を守り、独自の香りの世界を生み出している。本企画ではその歴史をはじめ、最高峰の香りづくりの秘密を求めてお香の工場を訪ねた。さらには香りを一から生み出す調香師へのインタビュー、日本の伝統的な香り文化・香道を次世代へつなぐための取り組みなども収録。日本香堂グループがグローバルな視点で思い描く未来とは? 日本香堂グループの挑戦に迫る。

 非日常感を愉しめるのが宿やホテルの魅力。そのためにオリジナルの香りで空間を演出する宿やホテルも増えてきている。前半では、好みの香りをつくったり、香りを聞き分けたりする体験を通して、より深く香りの文化に触れられる3つの宿を。後半では、ホテルのコンセプトを象徴するオリジナルフレグランスや、その土地の要素を取り入れたアロマなど、香りのおもてなしが魅力的な13のホテルを紹介する。

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