【漫画】冴えないおじさん教師はタイムループを抜け出せる? 異色SFサスペンス漫画の意外すぎる結末
描きたかったのは”不憫なおじさん”
――“冴えないおじさんのループもの”を制作した背景は?
パーシモン:とにかくおじさんが不憫な目に遭う漫画が描きたくてこの話ができました。また、映画が好きでよくいろんなジャンルを見るのですが、「大半は殺人鬼側とコミュニケーションが取れず、どうにかして殺人鬼を物理的に撃退する作品が多いな」と感じていました。
――願望と疑問が合わさって生まれたのですね。
パーシモン:はい。そこで「交渉や好感度を稼ぐことで殺人鬼を懐柔できたら面白いな」と考えたんです。とはいえ、相手は殺人鬼。殺されたらそこで話が終わってしまうので、「“死に戻り”ならいくらでやりようがあるな」と思い、本作の枠組みができました。
――各登場人物はパーシモンさんの願望通りに作り上げたのですか?
パーシモン:そうですね。先生はできる限りくたびれた、僕の好みなおじさんにしました。殺人鬼はストーリーの展開に大きく左右するため、お面を優先的にビジュアルなどを考えていました。また、石井は後半の展開から逆算して、「可愛い感じのビジュアルにしようかな」と思って描きました。
――ちなみに、なぜ殺人鬼のお面をスローロリスにしたのですか?
パーシモン:趣味で動物のフィギュアを集めているのですが、その中でランダムに選んだ物がスローロリスでした。一歩違えば蛸の可能性もあったのでヒヤヒヤでした。
意外な展開は温めていたフリーゲームのアイデアから
――序盤はホラーテイストでしたが、中盤はコメディテイストで読み応えのあるストーリーでしたね。
パーシモン:タイムループものは試行錯誤のターンが一番面白いと思っているので、コミカルな内容になるように意識しました。シリアス、コメディ、シリアスの流れが漫画でも映画でも好きなので、その流れに則って描きました。
――コメディからシリアスになるラストの急展開もインパクト大でした。
パーシモン:実はもともと制作予定だったフリーゲームのアイデアを本作でも使用しています。そのアイデアの中には、「裏ルートとして学生がラスボスだった」という展開があり、そのアイデアも魔合体させた結果、本作が出来上がったという感じです。
——中盤、先生が石井にボディタッチした時に石井がまんざらでもない表情を浮かべていましたが、その意味が発覚するラストはかなりのカタルシスがありました。改めてラストを描くうえで意識したことは?
パーシモン:本作を描くうえで、後半のページは明確に決まっていたので、そこから逆算して前半を描いていきました。特に石井君はラストに執着した様子を際立たせたかったので、なるべく人畜無害な青少年になるように気をつけていました。
――今後の漫画制作における目標など教えてください。
パーシモン:今後は毎月40~50ページの漫画を描いていければと思っています。また今年は一次創作向けの同人誌イベントにも参加していきたいです。