『ROOKIES』のキャラクター名にミス? 森田まさのりが「実在の人物から命名する」理由を明かす
漫画家の森田まさのり氏が1月26日、自身のXで、人気野球漫画『ROOKIES』のキャラクターについて、「名前が2パターン」あるという珍しいミスがあったことを明かした。
そのキャラクターは、二子玉川学園高校(ニコガク)で“大穴”の8番バッターを任される、やや天然で意外性のあるプレーが持ち味の「湯舟」。多くのファンはその名前を「哲郎」と認識しているが、実は「春樹」と表記されたことがあるようだ。
『ROOKIES』のキャラクター名は主に野球選手からつけられており、ニコガクメンバーは森田氏が長年応援している阪神タイガースの選手に由来している。「湯舟」の苗字は、1990年のドラフト1位でノーヒットノーランも記録している「湯舟敏郎」から取られており、「哲郎」は同じくノーヒッターの川尻選手に由来。しかし森田氏によれば、85年V戦士の外野手・吉竹選手からとった「春樹」でもあったようだ。その理由は「うっかりとしか…」とのことだった。
森田氏は多くのヒット作を手掛けてきたが、多くのキャラクターの名前が実在の人物に由来している。不良漫画の金字塔『ろくでなしBLUES』のキャラクター名は主にプロボクサー/格闘家からで、THE BLUE HEARTSのメンバーをモチーフにした人物も登場(大場浩人、海老原昌利、石松徹也、松村純之助)。また、お笑いをテーマにした人間ドラマ『べしゃり暮らし』はやはり野球選手が由来と見られるキャラクターが多く、「アライバタ」という球界一の二遊間「アライバ」を思わせるコンビも登場している(メンバーは荒木と井端ではなく、新井と井端だ)。
続くポストによれば、森田氏が実在の人物から名前を借りている理由は「めんどくさいの半分と、照れくさいの半分」。さらに、「大体名字しかつけず、下の名前は必要ならつける程度」であるため、自然と登場人物たちが「お互い名字呼びになる」という傾向も。親しい間柄でも名字呼びとなるため、森田氏は「今見返すとそのへんがだいぶ違和感あるな」と振り返っているが、どの作品もユーモアも多分に含みながら、硬派な印象があるのはリアリティのある作画とともにこの「名字呼び」の影響もあるのかもしれない。
実在の人物や地名、数字や四季、外国語など一貫したモチーフでネーミングされている作品は少なくない。例えば、女子校の軽音楽部を舞台にした大ヒット作『けいおん!』(かきふらい)は、主要キャラクター(バンド「放課後ティータイム」のメンバー)が平沢唯、秋山澪、田井中律、琴吹紬、中野梓と、伝説的テクノポップバンド「P-MODEL」のメンバーの名前(平沢進、秋山勝彦、田井中貞利、ことぶき光、中野照夫)と合致しており、また先生が山中さわ子、唯の親友が真鍋和とロックバンド「the pillows」メンバーと一致。音楽好きに刺さるラインナップで、ファンは考察を楽しんだ。キャラクター名に悩むのは作家の“あるある”だが、法則性を探してキャラクターへの愛着を深めるのも、読者の嗜みと言えるかもしれない。