玉袋筋太郎「昭和っていいところもあるんだぜ」 忘れかけていた「昭和あるある」を振り返る書籍刊行

『玉袋筋太郎の#昭和あるある』(双葉社)

 お笑いコンビ「浅草キッド」の玉袋筋太郎が11月22日、東京の書泉グランデで、著書『玉袋筋太郎の#昭和あるある』(双葉社)の発売記念イベントを行った。

 同書は「昭和100年」となる2025年に先駆け、プロ野球、プロレス、ゲーセン、文房具など、玉袋自身が少年時代を過ごした昭和のものごとを網羅。軽妙な語り口で忘れかけていた「昭和あるある」を振り返り、昭和の人間には懐かしく、令和の人間には新鮮な内容となっている。

 イベントの冒頭、登壇した玉袋は同書について「いまの私を作ってくれた、非常にエネルギッシュでインパクトを与えてくれた昭和という時代を、思いを込めて書かせてもらいました」と紹介。続けて「ここは定番で、まだ読んでいないんですけどねって、言っておきます」と締めた。これは歌手でタレントの松本伊代が、アイドル時代に出版した自著を宣伝する場で放った、昭和時代の名言だ。しっかりつかんだその後は、令和の時代における昭和についてのトークが繰り広げられた。

 まずかつてに比べてコンプライアンスが叫ばれるようになったテレビ業界について問われると「俺はそもそも呼ばれないから気が楽ですよ。呼ばれて失言して炎上してっていうのがないですから。だから、こういうところで失言ができるんですよ」と発言。ここからはテレビ番組では出せないトークを連発。

 年末も近いとあり、出場者の顔ぶれが昭和とガラリと変わった『NHK紅白歌合戦』に話題が及ぶと「俺にはテレビ東京の『年忘れにっぽんの歌』がありますから、『紅白』とザッピングしながら見ますね」と、昭和への愛をアピール。さらに「紅組、白組だけじゃなくて、黒組も出してくれたらなと思いますよ。黒組はみんな、スネに傷のある人たちで。そういうの見たいな」と、新たな番組案を提案していた。

 同書で語られた昭和のものごとはすでになくなってしまったものがほとんどだが、令和の今も残っている昭和を聞かれると、「私がやっている町中華とかね、あとスナックにギャンブル、競輪とか。そういうところにまだまだ昭和は残っていると思いますよ。チェーンじゃない居酒屋もそうですし。そういうところに肩までどっぷりつかっている感じですよ」と、身近なところに昭和はあると回答。

 続けて「やっぱり、そういうのがなくなっていっちゃっているのが現状じゃないですか。絶滅危惧種ですよ、昭和っていうのは。町中華も夫婦でやっているところは高齢で店を閉めざるをえなかったり。今はレストラン行っても、タブレットで注文とかね。便利だし合理的で素晴らしいんだけど、やっぱ女将さんが紙の伝票で注文取っていたり、タバコが堂々と吸えるところのほうが落ち着くんだよね」と、しんみりした表情で語っていた。

 しかし、同書は過去を振り返るだけの本ではない。玉袋は「そういった昭和っていいところもあるんだぜってところを伝えたいですね」と言うと、「昭和の方だけでなく、平成の方も令和の方も読んでいただきたい。温故知新、昭和でこういうことがあったから、今につながっているんだなということを知ってもらえれば。昔と今がつながる橋渡しができればいいなと考えています」と、同書を令和の今に出す意義を説明した。『玉袋筋太郎の#昭和あるある』は、昭和だけではなく、今を知るための本でもあるのだ。

■書籍情報
『玉袋筋太郎の#昭和あるある』
著者:玉袋筋太郎
価格:1,760円
発売日:2024年11月20日
出版社:双葉社

関連記事