【漫画】「象飼ってる家の買い物」こんな一言でずっと楽しい……ちょっと変わった夫婦のエッセイ漫画が愛おしすぎる
――反響についてはいかがですか。
つのだふむ(以下、つのだ):以前描いた内容を初めてまとめた投稿です。毎日ポストしていた当時よりも反響をいただけて嬉しかったです。ネガティブな感想は少なく、「こういう夫婦の関係性がいいな」というものが多かった印象ですね。
Xでは刺激の強くて引きのある作品じゃないとウケないかなと思っていましたが、「何ということもない描写」も逆に刺さるんだなと発見がありました。
――制作の経緯を教えてください。
つのだ:初の連載作『リアル・ユー』を描きながら、登場人物にリアリティを持たせる訓練として「身の回りの人を主人公にした漫画を描こう」と思い付いたんですよ。そこで一番近い存在の妻を描き始めました。
最初は模索をしながらでしたが、だんだんと妻のことを描写できるようになったので、毎日エッセイ漫画を投稿しようと自然に始まったんです。
――試行錯誤で得た身近な人を描くコツは何でしょう?
つのだ:最初は1ページ漫画で、4~5コマしか入らなかったんです。となると、そのなかでオチを付けるために現実をどう落とし込むかが勝負。でも漫画を面白くしようと、少しでも感情にウソを付くと一気にリアリティがなくなることに気付いたんです。
例えば喜んだ理由を「漫画的に合わない」という理由で別のものにすると一気にキャラが変わって、本人も読者も「何か変」と感じる。逆に感情にウソさえ付かなければ、セリフや動きを演出で変えてもキャラは維持されます。だから「どこで感情が動くか」がその人らしさなんだなと。
――登場人物のふたりは、つのださんと奥さん?
つのだ:デフォルメはありますが基本的にそうですね。もちろん言い争いもありますし、描かない部分だって多いですよ(笑)。本作が我々の記録にもなっているので、描くことによって生まれた夫婦関係も確実にあると思います。
ネタにされて妻も嬉しがってましたね。というよりも、最初から喜ばれるように描いているんです。実在の誰かを貶めたりディスるために登場させるのは個人的に好きではなくて。僕は登場した人がもっと自分を再発見し、好きになれるような作品を描きたいんです。
――やはり奥さんの影響は大きいのですか。
つのだ:そうですね。鳥が好きなのも奥さんからの影響ですし、色々な人から新しいことを得るのがいい人生だと思ってます。奥さんだけでなく、今所属しているエージェント会社・コルクからも関わる人々からも刺激を得てきました。
――コルク出身の漫画家さんが増えている印象がありますが、どのような刺激を受けているのでしょう?
つのだ:「漫画を作る仲間」というイメージ。「自分がどういう作家か?」ということを常に問いかけてくれる会社なので、それで考えたり悩んだり……。ひとりで作っていたら見つからなかった自分の作家性が多かったと思います。自分への深い理解こそが作品をオリジナルなものにしますから。
一番大きかったのは持っている「粘り強さ」に気付けたこと。負けず嫌いとは違うんです。物語や絵では超一流ではないけど、だんだんと歳を重ねて辞めていく人もいるなかで、淡々と前に進んでいくことが平気で出来ている。
これは長い期間で考えれば自分の強みだなと。だからコルクの方も僕が急に鬱で病んで失踪するようなイメージはないと思います(笑)。
――現在連載中の『運命のリフォーカス』についても教えてください。
つのだ:夫婦漫画の延長線にある作品『糸島STORY』がXでバズったことはあるのですが、僕にはオフィシャルな媒体でのヒット作がありません。今15話まで書き上げてAmazon Fliptoonで読めるようにしていますが、これを大幅にブラッシュアップしたものをLINEマンガで連載しようと思っていますね。
人が死ぬ運命を変えていく物語なのですが、「未来を変えるぞ」という気持ちは僕自身も会社を辞めて漫画家になった時に持っていたものなんですよ。その想いをもっと乗せて描いて希望のある作品になれば嬉しいです。
――最後に今後の展望をお願いします。
つのだ:今の連載をヒットさせることが第一。その後は「つのだふむのスタイルだよね」と各作品が繋がるような作家になりたいですね。あと僕は福岡・糸島市で活動しているので、まずは九州エリアで一番有名になれたら。
■糸島STORY
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