【漫画】恋に悩む少年が出会ったのは、ドレッドヘアのおじいさんーーSNS漫画『告白』が残す深い余韻
ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
古西:本作は在籍する美術系大学に提出する課題として制作した作品です。「登場人物は男女3人以上、うち1人に他より15歳以上の年齢差をつける」というテーマの課題に合う作品として描きました。
ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンは?
古西:終盤の秋津さんが「─また明日」と話すシーンでしょうか。実は1番キャラ造形に苦戦したのが秋津さんです。ミステリアスなキャラなので、描写の匙加減が難しく……。
作者本人でも彼女の心情をすべては把握できないまま、苦しみつつ描き進めていったのですが、そんななか自然と描けたこの表情とセリフは、不思議と腑に落ちるものがありました。
ーー作中に登場するおじいさんを描くなかで意識したことは?
古西:ただのかっこいいおじいさんで終わらせたくなかったので、インパクト重視でドレッドヘアにしてみました。ドレッドヘアにしたことでパンクロック方面にキャラを振り切れたと思います。
ちなみに彼のモデルもいまして、スタイルはミュージシャンのシド・ヴィシャス、顔立ちや雰囲気は映画俳優のリー・ヴァン・クリーフです。
ーーおじいさんが乗るバイクについて教えてください。
古西:このおじいさんは15歳の夜に叔父から盗んだバイクで走り出して以降、バイクとは自分の一部も同然の付き合いです。そんなおじいさんが乗る、ということを意識した結果、コアな人気がある「ヴィンテージインディアン」になりました。バイクの使いこなされた感を描くのが難しくて大変でした……。
ーー秋津さんの表情や返答が描かれない、余白のある最後のページが印象に残っています。
古西:実は最初のネーム(漫画の設計図的ラフ画)では全16ページの作品となる予定でした。ラスト1ページは作画がだいぶ進んだ段階で付け足したものです。
最初のネームだと16ページ目でバイクに乗ったおじいさんが捨て台詞を吐きながら去って終わるのですが、話を無理やり畳んだ感があって……。ラストはもう少し余韻が欲しいので、ほんの少し先の未来を意識した17ページ目を急いで付け足してみました。結果、大学の先生にも褒めていただけたので良かったと思います。
ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。
古西:自分の1番好きなものである漫画を仕事にして生きていきたいと思って、成人してから本格的に漫画を描き始めました。
しかし最初は新人賞も落選が続き、出版社に持ち込みへ行ってもダメ出しばかりで……。そこから一念発起し、マンガ専攻のある大学に入って学び直しました。そして今に至りますが、この数年間で自分の中の漫画に対する意識が変わったと思います。
ーーSNSに漫画を投稿するようになったきっかけは?
古西:SNSはどうしても数字として反響が見えてしまうので、数字にメンタルが左右されるのが怖かったです。ただ、より多くの人に自分の漫画を知ってもらうために、思い切って投稿してみました。
また大学の卒業制作を発表するため、2024年2月に開催されるコミティア(一次創作物の即売会)へ同学年のみんなと参加する予定です。次からは個人でも出展したいですね。
ーー今後の目標を教えてください。
古西:そのとき自分が面白いと思ったものを、独りよがりなものにせず、誰かの心のお酒となる漫画として昇華できるように頑張ります!