【漫画】ギャルJKに“おじさん声優”の凄さは伝わるのか? SNS漫画『ギャルおじ声優!』に感動

声優養成所にも足を運んだ力作

――なぜ『ギャルおじ声優!』を制作しようと思ったのですか?

絵咲:別作品の原稿執筆中、ふと声優の林原めぐみさんのラジオを聞いたことがキッカケです。リスナーさんから送られてくる相談に、すごく優しい言葉で寄り添っているその姿勢に驚きました。「なんでこんなに一人一人に寄り添えるんだろう?」と考えた時、「声優さんは一人一人役に向き合ってるから人の立場で考えられるんだな」と思いました。そこから声優さんの芝居論などの裏側に興味を持つようになりました。

――独自に声優という仕事を調べてドンドン興味を持つようになったと。

絵咲:そうです。声優として売れる過程、演技の表現などの考え方を調べていくうちに、漫画家と近いものを感じていました。声優の友人に話を聞いたり、養成所の説明会に足を運んだりなどいろいろ調べて制作しました。

――なぜ声優を幽霊にして、さらにはギャルに乗り移ってしまう、という展開にしたのですか?

絵咲:初めは3本ぐらいネームを描きましたが全てボツにしました。声優を目指す人のヒューマンドラマにしたかったのですが、それだけでは読む人が楽しめるポップさに欠けていると感じたからです。「もっと楽しんでもらえるにはどうすべきか」ということを担当編集さんと話して、「ファンタジーな要素を取り入れよう」となり、「声優の幽霊が素人を声優の世界に引っ張っていくストーリーにしよう」という感じで練り上げていきました。

――ちなみに、なぜ田貫は“ダサさ”全開の中年男性ですが、声優の仕事を説明しているシーンがとてもカッコ良かったです。

絵咲:声優さんは自分が演じるキャラクターについて、“自分そのもの”というよりは“一緒に歩んでいく仲間”みたいに話していることが多い印象です。そこが「めちゃくちゃカッコ良いな」と思い、そのリスペクトの気持ちを持ちながらセリフを考えました。

――玲音が進路に悩んでいる姿はリアリティがありました。玲音の等身大の悩みを描くうえで、過去の自分を思い出したりなどしたのですか?

絵咲:はい。私もいろいろなことに興味を持ちやすく、手を伸ばしては中途半端に終えることが多かったです。そういった部分を思い返しながら玲音の悩みに当てはめました。

――“声が変わる”という現象を漫画で表現することは難しいと思います。“今声が変わっている”ということを伝えるために意識したことは?

絵咲:『ドラえもん』(小学館)の「コエカタマリン」のエピソードが好きだったので、「そんな風に遊び心満載にやりたいな〜」と思いながら描きました。コミカルな演出を考えることは好きだったので楽しかったです!また、具体的に工夫した点としては、話し手によってフォントや吹き出しを変えたりなど、いろいろ変化を加えています。

――最後にこれからの活動目標など教えてください。

絵咲:現在は商業連載に向けて制作中です。普遍的な気持ちを大切に描きながら、楽しんでもらえる作品を目指します。たくさんの人に読んでもらえるよう精進します!

関連記事