就職人気企業ランキング、出版社が上位に4社ランクイン 人気の理由と漫画編集者に聞くリアル

  新卒学生向け就職情報サイト「あさがくナビ」などを運営している学情が2023年に発表した2025年卒学生対象「就職人気企業ランキング」によると、大学生・大学院生の就職先として人気の企業は以下のようになっている。

1位:伊藤忠商事
2位:講談社
3位:集英社
4位:任天堂
5位:アサヒ飲料
6位:大日本印刷(DNP)
7位:KADOKAWA
8位:オリエンタルランド
9位:小学館
10位:味の素

  トップは6年連続で伊藤忠商事となったが、今回、上位10位に講談社、集英社、KADOKAWA、小学館などの出版社が4社もランクイン。出版社の就職人気の高さを実感させる結果となった。人気の要因となっているのが、漫画、小説発のメディアミックスが相次いでヒットしていることである。これら4社はいずれもアニメ化された漫画を多数抱え、学生の間での知名度も群を抜いて高いためである。

  もともと学生の間では出版社の人気は高い。大手出版社は給与水準の高さもあり、出版不況が叫ばれた2000年代においても、人気が衰えることはなかった。現在でも初任給は大手は25万円前後のようで、初任給の平均である約21万円よりも高い。それに、今となっては珍しい年功序列を今でも採用している出版社もあるし、福利厚生がしっかりしていることも人気の要因だろう。また、ヒットを生み出す編集者になれば、若手でも年収1000万円ということも夢ではない。

  しかし、出版社は非常に狭き門でもある。ランキングに入った大手出版社は、毎年20名以上をコンスタントに採用しているが、その人気の高さ、そして規模や知名度に対して採用人数が決して多いとはいえないようだ。

 出版以外の事業も幅広く展開するKADOKAWAの場合、2022年度は29名、2023年度は32名、2024年度は41名を採用している。講談社の場合は、2022年度は23名、2023年度は27名、2024年度は23名である。集英社の場合は、2022年度は23名、2023年度は24名、2024年度は25名であった。そのほか、中堅出版社では採用人数が一桁という例も珍しくなく、出版社に就職するのは大手広告代理店に就職するよりもハードルが高いと言われることもある。

 「広告代理店と同様、出版社も芸能人に会えるとか、漫画家に会えるといったイメージを持たれやすく、華やかな世界と思われることが多いようです。ただ、大手は異動も多いですし、何より激務。向き不向きが極端にある業界だと思いますから、自分の適性をしっかり考えて就活をすることをおすすめします」と、話すのは、ある大手出版社の漫画編集者である。

 出版社の社員には特徴がある。出版社以外の業種を受けず、出版社に絞って就活をした人が多い印象だ。ある編集者は集英社には残念ながら縁がなかったものの、別の中堅出版社に入社し、漫画でヒットを飛ばしている。出版社を志す学生は、とにかく出版業界に特別な思い入れを持っているケースが多いようで、そうした本への情熱がヒットを生み出す要因になっているのかもしれない。

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