NGT48本間日陽「グループ在籍時の集大成にできたら」2nd写真集『陽射し色』で明かした心に秘めていたこと

――改めて、15歳でNGT48に加入してからの8年間は、日陽さんにとってどのような期間でしたか?

本間:私の人生を変えてくれたのは、間違いなくNGT48の存在が大きいなと思っています。自分の夢を叶えてくれた場所でもあるし、人生を変えてくれた場所。そこに対する気持ちが大きくて、グループに加入できたからこそ、活動を通して自分が小さい頃に抱いていたコンプレックスだったり、嫌だなと思っていた気持ちを、これから自分が活動を通して還元していきたい場所に変わっていっていると感じているので、自分にとって切っても切れない存在、大切な場所になっていますね。

――日陽さんが8年間の活動の中で一番嬉しかったことはなんですか?

本間:一番嬉しかったのは、『AKB48選抜総選挙』で選抜にランクインしたことです。あの出来事があったからこそ、自分のアイドル観は変わったし、小学生の頃からテレビで見ていた偉大な先輩と一緒に活動する時間は、今の自分にとってもアイドルという職業を考えた時に軸になっている部分が大きいので、投票してくださったファンの方には感謝してもしきれないですね。

――そこからAKB48としてのシングル選抜に選ばれたり、NGT48としても『春はどこから来るのか?』でシングル表題曲のセンターに選ばれていきました。

本間:ファンの皆さんが私を前に連れ出してくれたことが、今の自分にとってのアイドル観に深く関わっているので、自分にとって大きな出来事でした。

――日陽さんはグループに加入する以前から「女優になる」という夢を持っていたんですよね。

本間:女優になりたいという思いを抱いたのも、弟の存在が大きくて、自分が姉弟の中で障がいを抱えているきょうだい児だからこそ、小さい頃から抱いているモヤモヤだったり、誰も悪くないからこそぶつけられない思いから、違う自分として生きれたらいいのにという気持ちが強くなっていきました。その気持ちを救ってくれたのが、自分の一番大事な部分でもあるクラシックバレエとの出会いです。クラシックバレエは物語で、その物語の人物をステージ上で演じてパフォーマンスをする、自分の中で演じることが救いになった瞬間で、そこから自分ではない人物として生きてみたいという思いが強くなりました。自分がアイドルとして達成したい目標だったり、アイドルを卒業してから目指したい自分自身の理想像は、このエッセイで書かせてもらったことが軸になっています。

――グループのためではなく、自分のために正直に生きようと思ったのはいつ頃だったんですか?

本間:20歳くらいの時は、なんとかして自分がグループの先頭で引っ張っていきたい、守りたいものもあったし、NGT48をここで終わらせたくない思いが強かったからこそ、グループの真ん中に立つ機会も多くて悩む時期もありました。『シャーベットピンク』でNGT48がまたシングルをリリースできた時に、(藤崎)未夢がセンターに立ってくれて、センターじゃなかったショックよりかは、センターに立たない自分にホッとしていたんです。自分もセンターに立つことで見えた景色だったり、グループ全体を考えることがあったので、後輩がそれをやっていく番がきたんだなと安心したし、センターではなくても、グループを思う気持ちに変わりはなかったので、もっとグループ活動をメンバーと一緒に過ごせるこの時間を楽しんでいいんだと思えるきっかけになりましたね。

――日陽さんはその一方で、女優として『サザエさん』に出演したりと、新潟と東京を行き来しながらの活動も増えていったわけですよね。

本間:後輩がグループの先頭に立つ新しいNGT48をファンのみなさんに見てもらっていく中で、これからの自分をリアルに想像できるようになったのが大きいですね。そこからは、グループとしてまだやりたいこともあるけれど、NGT48を卒業してからやりたいことに対してもっと努力する時間を割いてもいいのかなと思えるようになりました。

――2022年12月リリースのシングル『渡り鳥たちに空は見えない』で再びグループのセンターに立ちます。

本間:『渡り鳥たちに空は見えない』がリリースされた時は、そろそろ卒業を考えていこうかなと思っていたタイミングでした。新潟の民放4局での合同ドラマ『夜明けまえの彼女たち』の主題歌としてリリースした楽曲で、そのドラマも諦めた夢と周囲との人間関係を描いた内容で、自分がアイドルになりたいと思い描いていた頃の葛藤と似ている部分がありました。『渡り鳥たちに空は見えない』の歌詞と合わせて、自分のこれまでとこれからの目標や夢を見つめ直すいいきっかけになりましたし、その時期を経て、自信を持って卒業を決意することができたと思っているので、私にとって特別な曲ですね。

――昨年9月には「HONEST」への事務所移籍もありましたが、グループ卒業後は東京が拠点になっていくとSHOWROOMの配信で話していましたよね。

本間:今のところはそうなっていくのかなと思っています。でも、NGT48で活動していく中で経験させていただいている、新潟や地元 村上でのお仕事は、これからも大切にしていきたいと思っています。

――村上市のスペシャルアンバサダーですもんね。

本間:自分の将来の目標像は小林幸子さんだと思っています。明るくて、パワーの漲った幸子さんが新潟に帰って来てくださると、会う人会う人が笑顔になるんです。そんなパワフルで地元思いな新潟出身の著名な方がいらっしゃるというのは、私にとっての目指すべき場所だなと思っています。自分もお芝居を通して、アイドルとはまた違った形で新潟のみなさんの生活に溶け込める、何か心の支えだったり、励みになるような存在になれたらと思うのと同時に、新潟の魅力を全国に伝えられる、そして地元のみなさんにパワーを与えられるような存在になれたらと思っています。

――先日の『NGT48劇場8周年記念公演』では、4期生の初パフォーマンスがあり、グループの未来の担い手であることが分かる頼もしいステージでした。その一方で、2期生、3期生から卒業発表が続いている現実もあります。もうすぐグループを旅立つ日陽さんは、今のNGT48をどう見ていますか?

本間:4期生が入ってきてくれて、楽しみな部分は大きいです。これから自分も卒業するし、全く違ったNGT48がこれから作られていくのを感じています。私自身もそうなんですけど、先輩が卒業したからこそ芽生える意識だったり、グループに対する思いが少なからずあると思うので、自分が卒業した後のNGT48がどうなっていくのかは楽しみに思っています。ただ、卒業について新しい道を決断するメンバーが多いのも事実で、ファンの方は少なからず寂しい思いやこれからどうなるんだろうという気持ちを抱えていると思います。その気持ちが少しでもポジティブな方向に向かっていけるように、私自身が卒業までにできることは、AKB48グループに在籍する中でいろいろな経験をさせていただいたので、自分が先輩から受け取った熱い気持ちや教えを後輩に伝えていくこと、メンバーと過ごす時間を1分1秒大切に過ごしていきたいと思っています。

――日陽さんのことを「推し様」と呼んでいる原愛実さんをはじめ、4期生には日陽さんに憧れているメンバーがたくさんいるので、声をかけられたり、一緒に過ごす何気ない時間が、彼女たちにとってこれからの原動力だったり、忘れられない思い出になっていくのだと思います。

本間:そうなったら嬉しいなと思います。アイドルって、もちろんうまくいかなかったり、つらいこともあるんですけど、私はアイドルになってよかったと思う瞬間の方が多くて。この活動を始めなかったら出会わなかったファンのみなさんの存在が大きいと思っているので、アイドルを夢見て、NGT48に加入してきてくれたみんなには、アイドルとしての限られた時間を目一杯楽しんでほしいし、そこで今後の人生において何か一つでもプラスになるものを身につけてほしい気持ちがありますね。

――昨年2月、NGT48の卒業生でもある北原里英さんのYouTubeチャンネルに「焼肉女子会」として日陽さんが出演した時に、「グループにいる時にしておいてよかったこと、もっとしたかったこと」という質問に北原さんは「ファンの人への感謝」と答えていたんですよね。これはまさに今の日陽さんのための言葉だと思っています。

本間:この写真集もそうですけど、自分は生まれてからラッキーなことが多いなと実感していて。それは巡り合えた人たちもそうですし、アイドルを始めてファンのみなさんが見つけてくださったタイミング、総選挙にランクインできたこと、ソロ公演、ソロコンサート――誰もができるわけではない機会をいただけて、今回もグループ在籍中に2冊目の写真集を出させていただけるなんて恵まれているなと思っています。周りの人への感謝は忘れちゃいけない、大切にしたいところだと感じていますね。

■プロフィール

ほんまひなた
1999 年 11 月 10 日、新潟県村上市生まれ。
2015 年 NGT48 の1期生として加入。2017 年 4 月にリリースされた NGT48 メジャーデビューシングル「青 春時計」で表題曲選抜メンバーに選ばれる。2018 年 4 月リリース 3rd シングル「春はどこから来るのか?」 で表題曲初センターに抜擢。2020 年 1 月には、TOKYO DOME CITY HALL にて「本間日陽ソロコンサート ~来いっしゃ!ひなたまつり~」を開催。2021 年 5 月 1st 写真集「ずっと、会いたかった」(光文社)を発売。 2022 年 12 月リリース NGT48 8th シングル「渡り鳥たちに空は見えない」では表題曲2度目のセンターを 務めるなど、エースとしてグループを牽引してきた。 2023 年 9 月 1 日、活動の幅を広げるため芸能事務 所「HONEST」に移籍。2023 年 10 月 24 日には、NGT48 からの卒業を発表した。NGT48 としての活動は 2024 年春頃までを予定している。

■書誌情報

『NGT48 本間日陽 2nd 写真集 陽射し色』
著者:本間日陽
撮影:You Ishii
定価:本体 2,500 円+税
仕様:B5 判/128 ページ ISBN:978-4-04-606201-7

(C)KADOKAWA (C)Flora PHOTO/ You Ishii

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