『呪術廻戦』伏黒恵は作中一の天才? 才能に“恵”まれた若き呪術師のポテンシャルを考察

数々の猛者たちが認める伏黒のポテンシャル

 「十種影法術」を応用した戦闘技術の高さや、領域展開に関する圧倒的な成長速度など、恵は底知れないポテンシャルを持っている。その実力は、作中屈指の猛者たちからも評価されているほどだ。

 たとえば五条は、恵の実力や潜在能力について虎杖と遜色ないことを認め、「本気」を出すように鼓舞していた。また“呪いの王”である宿儺も、物語の序盤から伏黒に何かと目をかけている。

  第9話「呪胎戴天-肆-」では、式神使いらしからぬ恵の戦闘スタイルを見て「面白い」と一言。また術式の性能も高く見積もったようで、特級呪霊と戦うことを避けて逃げ出したことに疑問を呈し、「宝の持ち腐れ」だと指摘していた。宿儺はこの時点ですでに、恵が“本気”を出せば特級呪霊を祓えることを見抜いていたのではないだろうか。

  また恵が領域展開を会得した際にも、宿儺は「いい」「それでいい」と満足げな表情を浮かべていた。その腹の内にどんな思惑があったにせよ、恵の呪術師としての才能を認めていたように見える。

  五条と宿儺に次ぐ実力者で、恵にとっては父にあたる伏黒甚爾の反応も興味深い。「渋谷事変」で受肉した甚爾は、本能のまま強者に襲い掛かる戦闘マシーンとなっていた。そこで陀艮撃破後、禪院直毘人と七海建人、禪院真希がいるなかで、恵を標的に選んでいた。本能的に親子の絆を察知したのでなければ、甚爾は直毘人や七海よりも恵を“強者”と認識したということになるだろう。

  実力者たちも認めるほど、呪術師として優秀な恵だが、その才能ゆえに過酷な境遇に追い込まれていることも間違いない。それは父の甚爾が戦闘力こそ高いものの、呪術界では呪力を持たない“落ちこぼれ”として爪弾きにされたことと対称的な運命にも見える。

  才能に恵まれた若き呪術師は、混沌とした物語のなかでどのような役割を与えられるのか。その行く末に注目したい。

©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

関連記事