ひろゆきに小林幸子、松平健まで……主人公に有名人の起用が続く“異世界転生ファンタジー”人気の理由

 俳優といっても人間に過ぎないのだから、魔王という超常的な存在にかなうはずがないといった真面目な意見も出て来そうだ。それを言うならひろゆきだって実際にビームを放たれれば燃え尽きるし、小林幸子も斬りつけられれば傷を負う。『ドリフターズ』の織田信長も最新の第7巻で黒王軍に攻められ瀬戸際に追い詰められ、島津豊久も瀕死の状態に追い込まれる。人間は無敵でも不老不死でもない。

 それでもひろゆきは論破王として無双し、小林幸子もラスボスらしさを見せ続ける。理由は「そういうものだから」。キャラクターとして付与された属性の前にリアリティなど意味がない。津田彷徨の小説『プロレス棚橋弘至と! ビジネス木谷高明の!! 異世界タッグ無双!!! 』では異世界に転移したプロレスラーの棚橋弘至が、オークを倒しドラゴンを従える強さを見せる。人間ごときがと思うなかれ。プロレスラーは違うのだ。「そういうもの」なのだ。

 そうした現象が『マツケンクエスト~異世界召喚されたマツケン、サンバで魔王を成敗致す~』でも起こるなら、松平健もマツケンとしてサンバと豪華な衣装と付き従っている腰元ダンサーズを駆使して、魔王でもモンスターでも倒しそう。役として暴れん坊将軍になれば上様としてどんな敵でも一喝しそう。それはある意味で予定調和かもしれないが、人はそんな予定調和が好きで『暴れん坊将軍』を見たり、マツケンの舞台を楽しんだりしている。

 果たしてどんな活躍を見せてくれるのか。興奮に満ちた舞台の幕がまもなく開く。

画像提供=©林たかあき・遠田マリモ(秋田書店) ©SANKIPROMOTION

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