累計2000万部突破の大人気ラノベ『涼宮ハルヒ』最新刊発売決定でファン歓喜 オタク文化に影響を与え続ける“凄さ”を考察

  累計2000万部を突破している、ライトノベルの象徴的な存在である『涼宮ハルヒ』シリーズの最新刊『涼宮ハルヒの劇場』が現在制作中であると、9月24日、公式Xで発表された。2020年11月に発売された『涼宮ハルヒの直観』以来の新刊となり、突然の発表に、ファンの間では空前の盛り上がりをみせている。

  『涼宮ハルヒ』シリーズは谷川流によるライトノベルで、いとうのいぢがイラストを手掛けた。涼宮ハルヒが率いるSOS団がドタバタ劇を繰り広げるSF学園もので、京都アニメーションによってアニメ化され、歴史的な大ヒットとなった。

  『涼宮ハルヒ』が出版業界、アニメ業界、そしてオタク文化全体に与えた影響は計り知れないものがある。アニメを当時リアルタイムで見ていた人は、その熱狂を記憶しているに違いない。今一度、その凄さを考察してみたい。

  まず、『涼宮ハルヒ』のヒットで、ライトノベルが一般にも広く知られたことは大きい。それまでもライトノベルという言葉はあったものの、一般層にもその言葉を普及させたのはこの作品の功績と言っていいだろう。出版社員や書店員の間でも、ライトノベルが無視できない存在になったと言われる。

  表紙絵や挿絵などのイラストを手掛けた、いとうのいぢにも注目が集まった。特にいとうは、ラノベ『灼眼のシャナ』でもイラストを担当、こちらもヒットしたことで、トップイラストレーターの一人として認知されるようになった。この頃から、イラストレーターにとってラノベに関わることが一種の花形になったといわれる。

  また、アニメは文句なしで2000年代を代表するヒット作といえる。この作品で京都アニメーションの名が一躍有名になった。その前にも『AIR』などの美少女ゲーム原作のヒットアニメはあったが、京アニの評価を定着させたのは『涼宮ハルヒ』だったといえる。

 『涼宮ハルヒ』はコスプレ界隈でも大人気となり、中川翔子がコスプレしてテレビ番組に出演するなどして、オタク文化の象徴的な存在として扱われるようになった。そして、アニメのクオリティの高さゆえ、それまでは深夜アニメといえばどちらかというと限られた層に向けたものであったが、一般層も広く視聴するようになったとされる。

  ハルヒを演じた平野綾など、声優にも注目が集まった。声優がキャラクターに扮し、アニメに登場する歌を歌い踊ることは今でこそ広く行われているが、『涼宮ハルヒ』はそうした声優が出演するイベントやライブが盛んに行われ、いずれも記録的なヒットになった。

  さらに、当時人気があった「ニコニコ動画」で、ファンがED曲『ハレ晴レユカイ』の振り付けに合わせて踊る「踊ってみた」系の動画の投稿も盛んになった。このように、『涼宮ハルヒ』シリーズは、2000年代のラノベ・アニメ文化を語る上では欠かせない作品なのである。

  新刊の具体的な発売日は未定となっているが、ファンは楽しみに待ってほしい。また、アニメの動画配信サイトなどを通じて作品を知った人も、この機会にライトノベルの方も読んでみてはいかがだろうか。

ラノベ『涼宮ハルヒの憂鬱』『灼眼のシャナ』の人気イラストレーターいとうのいぢ、創作の原点と故郷・加古川への思い

    『涼宮ハルヒの憂鬱』『灼眼のシャナ』など、2000年代を代表するライトノベルで挿絵を担当してきたイラストレーター、いと…

関連記事