コナンと灰原哀の関係性はどう変化してきた? 初登場から『黒鉄の魚影』までを振り返る
コナンが灰原を助けたエピソードといえば29巻収録の『謎めいた乗客』が思い浮かぶ。バスジャックに遭遇したコナンたち。コナンの機転と乗り合わせたジョディによって犯人たちは制圧されたものの、犯人たちが所持していた爆弾が起動。少年探偵団を含めた乗客たちは慌てて下車するものの、灰原だけは周囲の人間に組織の危害が及ばないようにと爆発に巻き込まれて死んでしまおうとバスに残る。灰原がバスに残っていることに気が付いたコナンは犯人たちが所持していた拳銃でリア・ウインドウを撃ち抜き、灰原を抱えて脱出する。
コナンにとって灰原は、自身が元の姿に戻るためには必要不可欠な存在であり、言わば運命共同体である。が、コナンは元の姿に戻るため、いわば利己的な思考で灰原を助けているわけではない。誰一人として死なせないという探偵としての矜持、そして覚悟がコナンを突き動かしているのだ。
そんなコナンの姿や少年探偵団、蘭や阿笠博士の愛情や優しさに共鳴したからこそ、灰原もストーリーを通してゆっくりと周囲に心を開いていく。それまでの後ろ向きで周囲を巻き込まないために死を選ぼうとする姿勢から、周囲も、そして自分も生き延びるための最善の手を考え、選択する灰原の変化に親心のような気持ちを抱くファンも多いだろう。そんなポジティヴな灰原の姿を最も堪能できるのが劇場版最新作『黒鉄の魚影』となっている。上述した原作エピソードを踏まえて、終映前に『黒鉄の魚影』を見れば灰原の変化をより楽しめるはずだ。