ラノベ『涼宮ハルヒの憂鬱』『灼眼のシャナ』の人気イラストレーターいとうのいぢ、創作の原点と故郷・加古川への思い
『涼宮ハルヒの憂鬱』『灼眼のシャナ』など、2000年代を代表するライトノベルで挿絵を担当してきたイラストレーター、いとうのいぢ。7月15日から9月3日まで、いとうの出身地である兵庫県加古川市で、これまでの業績を振り返る大型展示会「いとうのいぢ展 ぜんぶ!」が開催されている。
会場となる加古川総合文化センターには、刊行20周年を迎えた『灼眼のシャナ』から、2000年代に“ハルヒダンス”のブームを巻き起こした『涼宮ハルヒの憂鬱』まで約200点のイラストが展示されている。ライトノベルから美少女ゲームまで多彩な分野でイラストを描いてきた、いとうの奥深い世界を体感できるはずだ。
いとうが生み出す絵はラノベ読者からアニメファンのみならず、多くのイラストレーターにも影響を与えてきた。その魅力はどこにあるのだろうか。今回は、展覧会の会場でいとうに直撃インタビュー。ふるさと加古川での思い出から、展覧会の見どころ、今後の活動までお話を伺った。
故郷・加古川で大規模展示会を開催
――いとうのいぢ先生の出身地である兵庫県加古川市で、過去最大規模の展示会が行われています。感想をお聞かせください。
いとうのいぢ(以下、いとう):幼いころから育った町で展示会を開催していただくことになって、感無量です。両親や友達にも自慢できる展示会になったかなと思っています。
――今回の展示会の見どころを教えていただけますか。
いとう:デビューから20年くらい描き続けてきた作品を一堂に飾っていただいているので、絵柄の変化や歴史を見ることができます。この頃のイラストはこういう描き方だったんだなと、絵を比較しながら、感じていただければと思います。
――いとう先生にとって、加古川とはどんな町なのでしょうか。思い出話などありましたら教えてください。
いとう:自分の人生を過ごしてきた中でも、一番多感な時期をすごした土地ですね。例えば、中学生から高校生の頃は家から自転車に乗って加古川駅の周りまでよく出かけていました。駅周辺は遊びに行くフィールドでしたね。友達とゲーセンに行ったり、食事をしたり、ショッピングモールなどに行ったのも思い出です。絵を仕事にしてからは拠点を大阪に移しましたが、やっぱり帰りたいと思うふるさとは加古川だな……と思います。
――いとう先生が絵を描き始めたのも、加古川にお住まいだった頃なのでしょうか。
いとう:そうですね。幼稚園の頃からお姫さまの絵を描くことから始まり、気付いたらそれが仕事になっていた感じですね。当時、絵が上手な友達がいて描き方を教えてもらったりしました。高校生の頃、隣町の姫路でやっていた同人誌即売会で、同人便箋を出したこともあります。