【漫画】迷子の少女が人に化けるタヌキと出会って……SNS漫画『お前、タヌキにならねーか?』がほっこり泣ける
――本作には5万いいねが集まっていますが、この反響を受けていかがですか。
奈川トモ(以下、奈川):初めての投稿よりも多い反響に驚きました。日頃より作品を応援してくだる皆さまから、お力添えをいただいたおかげです。口コミのオススメや、イベントを企画していただいたりなどの応援で、少しずつ読者さんが増えていることが嬉しいですね。
――本作は『お前、タヌキにならねーか?』のなかの1話かと思いますが、着想と本作をチョイスしてツイート投稿した理由を教えてください。
奈川:遺された人と亡くなった人を繋ぐようなイメージで作りました。もしも自分がいなくなったら、遺された人にどんな風に生きてほしいかという気持ちを作品に盛り込んでいます。
本作は「次にくるマンガ大賞」ノミネートの告知も兼ねて再投稿したものですが、初めて読んだ方でも入りやすいお話だと思ってチョイスしました。
――特に意識して描いた点は何でしょう?
奈川:読んでくださった方が美々子と共に前向きな気持ちになってもらえるように、読後の温かさを意識しました。
――この話に限らずですが、タヌキを主人公にしようと思った理由も気になります。
奈川:思いついたのは2018年、読み切り作品のプロットをたくさん考えていたなかのひとつでした。もともと小学生の頃に学校でタヌキを保護していて、身近な存在だったことも題材にした理由だと思います。
当時はお蔵入りにしましたが、その2年後にコロナが蔓延、自分も含め誰もが不安でいっぱいな時に、何か気が休まるものを描いてみたいなと。その際にタヌキのプロットのことを思い出し、軽い気持ちで漫画にしたところ、連載するに至りました。
――ゆるふわからシリアス、ハートウォーミングと予想を裏切った展開をしていくのも印象に残りました。このバランスはどのように考えられているのでしょう?
奈川:一番に読後感を決めてから必要な展開を逆算していく、という作り方をしています。子供の頃から色んな要素を含んだ複雑なお話が好きだったこともあり、何となく自分にとって心地よく腑に落ちるものを模索すると、こういったバランスに落ち着くことが多いですね。
――では、もし自分がタヌキだったら、どうしますか。
奈川:こんな漫画を描いてはいるものの、自分がタヌキだったらどうするかとは考えたことはありませんでした(笑)。もし化けられるのであれば、特定の誰かに化けるというよりも好みの服や髪型、体形や性別を日替わりで楽しみたいですね。
ある時は子供になったり、別の日にはお年寄りになったり、人間以外の何かになってもいいですし、自分ではできない楽しみや、なかなかやれなかった物事など思いきって色んな体験をしてみたいです。
――今後書いてみたいエピソードや、別作品の構想などがあれば教えてください。
奈川:今後もし新しく作品を描くとしたら、今描いているものとは雰囲気が違うものを描いてみたいですね。昔からずっとファンタジーが好きなので、ファンタジー作品という点は変わらずに、今よりもっと作画や漫画の技術、表現の幅を広げていけるような作品が描けたら。