業界随一の漫画好きOKAMOTO’S オカモトショウが語る“縦読み漫画=webtoon”の真価「懐疑的だったが、忖度なしに面白い!」

 業界随一の漫画フリークとして知られる、人気バンドOKAMOTO’Sのボーカリスト・オカモトショウ。旧作から現行の連載作品まで、数多くの作品に通じ、漫画ファンからの信頼も厚い彼だが、実は縦スクロール&フルカラーの「webtoon(ウェブトゥーン)」はほとんど未経験だという。今回はそんなオカモトショウに、人気電子コミックサービス「LINEマンガ」でwebtoonを読んでもらった。現在のトレンドになっている縦スクロール漫画ついて、懐疑的な視点も持っていたという彼は、いったいどんな感想を語るのかーー。(編集部)

■webtoonには否応なく読まされてしまう“馬力”があった

ーー業界随一の漫画フリークとして知れるショウさんに、今回はほぼ初めて縦スクロール&フルカラーの「webtoon」を読んでもらいました。率直にどんな感想を持ちましたか?

 正直、最初は「縦スクロールの漫画ってどうなんだろう?」と懐疑的に見ていた部分もあったんですが、忖度なしに面白くて驚きました。「スマホで読むなら縦の方がいいじゃん」とすら思いましたね。移動時間はwebtoonを読もうかなって。

ーーwebtoonのどんなところに魅力を感じましたか?

YC(原作)、rakhyun(作画) https://lin.ee/OVIM9xR/pnjo

 これまでは当然、紙の雑誌や単行本で漫画を読むことが多かったんです。もちろん、紙の漫画も次の話が読みたくなるように作られているけれど、webtoonはテンポ感が違うというか。

 例えば、漫画雑誌には「作品のファン」だけでなく「雑誌のファン」がついているから、多少展開が弱い回があっても、わりと続きを読んでもらえる。もちろん漫画アプリやウェブサイトにもファンはいると思いますが、きっとウェブ漫画は、基本的にそこに掲載されている無数の作品のなかから見つけてもらって、次の話を買ってもらわなければならないし、その中でもwebtoonは単行本にして売ることも難しいから、「続きを読ませる」ことに対しての熱量がすごいんですよね。

 今回読ませてもらった人気作品はどれもそこが優れていて、毎回、息を呑んでしまうような体験でした。否応なく読まされてしまう馬力がある、と思います。『入学傭兵』https://lin.ee/OVIM9xR/pnjoなどは、「主人公強すぎるだろ!」って、思わずツッコんでしまうエピソードもあるけれど(笑)、それを超えて続きを読みたくさせられるパワーがありました。


ーーいくつか人気作を読んで、特にお気に入りの作品はありますか。

singNsong(原作)、Sleepy-C(作画)、UMI(脚色) https://lin.ee/Blesoxw/pnjo

 ひとつ挙げるなら、『全知的な読者の視点から』https://lin.ee/Blesoxw/pnjoですね。主人公は冴えない会社員の「ドクシャ」。10年以上、『滅亡した世界で生き残る3つの方法』(滅生法)という流行らないウェブ小説を読むことを生きがいにしていて、最終回まで読んだのは彼一人だけ。そんななかで、小説の世界が現実のものになって、そこでどう生き抜いていくか……という物語なんですけど、これが面白くてびっくりしました。

 僕はいわゆる転生系というか、「主人公が別世界で無双する」というコンセプトの作品にあまりハマってこなかったんです。自分が現実世界では成し遂げられないようなことを無敵の主人公が実現してくれる……そんな「快感」に重点を置かれた作品に、どうしても冷めてしまうところがあって。でも、『全知的な読者の視点から』は“万能な主人公”が別にいて、そのなかで、ドクシャが筋書きを知っていることを生かしてどう生き残っていくか、という面白さがあります。

ーー“攻略本”に近しいものは持っているけれど、決して万能ではない。

 そうなんですよ。常に気転を利かせなければ生きていけない、という視点が上手いなと思います。原作がよくできた小説だということもあると思うんですけど、世界観の作り込みがすごいですね。破綻しているところがなくて、読者を冷めさせないんです。

 転生ものが好きな人に話を聞くと、「自分は現実ではダメだから、そういう人間が転生して活躍している姿にカタルシスがある」みたいに言われて、少し悲しくなっちゃうことがあるんです。自分も思い通りにいかないことは多いし、現実とは違う世界を楽しむのも漫画の醍醐味だけれど、現実を諦めることを許してもらえるから読んでる、みたいに聞こえて、そんな楽しみ方をするのは悲しいなって。その点、『全知的な読者の視点から』は知恵を使って困難に立ち向かう姿が描かれているし、“攻略本”を持っているにしても、現実にフィードバックできる余白があるのが素晴らしいなと思うんです。

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