『ルパン三世』原作はアニメと大違いの”無慈悲ぶり” イメチェンしたのは”宮崎駿”が関与していた?

初期の原作『ルパン三世』

 アニメではコミカルな雰囲気のあるルパン三世だが、原作のルパン三世は必要なら躊躇なく殺人を犯す冷酷さが描かれており、かなり雰囲気が異なる。露骨な性描写もあり、ファミリー路線の今の『ルパン三世』しか知らないと中々に驚きの内容である。

 第1話にお馴染みの面子である次元大介、峰不二子、石川五ェ門が登場しないことにも面食らうかもしれない。

 五ェ門の登場は特に遅く、次元、不二子が単行本1巻の時点で初登場を果たしているのに対し、単行本3巻収録の第28話『五右ェ門登場』でようやく初登場となる

 しかも初登場時はルパンの仲間ではなく敵だった。

 名物キャラである銭形警部は連載第一話から登場し、その後も頻繁に登場する。

 実はルパンと銭形は、同じ大学の先輩と後輩(銭形の方が3年先輩)であることが原作には描写されている。(原作第64話「義賊部々員」)

 このエピソードには不二子も登場し、彼女も同じ大学だったことがわかる。

 もはや腐れ縁である。

 ルパン、次元、不二子、五ェ門、銭形が「いつメン」として定着するのはテレビアニメからで、テレビアニメのいつメンなフォーマットは原作に逆輸入される。

 『新ルパン三世』ではこの5人がはっきりレギュラー化しており、第1話「ルパン一家勢揃い」は5人が揃って登場する象徴的なエピソードになっている。

『ルパン三世』の最終回

 『ドラえもん』が連載誌を変えながら四半世紀以上続き、結局、作者死去で未完終わったのに対し、『ルパン三世』の連載期間は2年弱と思いのほか短い。

 双葉社の単行本は続編の『ルパン三世 新冒険』と『ルパン三世』を合併させる形で収録しており、最終第10巻の最終話は『ルパン三世 新冒険』の最終話である「ルパン葬送曲」が収録されている。

 このエピソードでは最後のページにはっきり「完」の一文字があり、単行本ではおまけの「ルパン資料篇」で「本十巻をもって一応完結とする」とルパンの姿を借りて作者が語っているため、同エピソードを原作の最終話とするのが妥当であろう。

 「ルパン葬送曲」は謎の指揮者タガニーゼにルパン一味が狙われるものの、タガニーゼの正体は変装した銭形警部(タガニーゼ=ゼニガタの逆さ読み)で、最終的に銭形がルパンに正体を見破られて逃げられるいつものお決まりのパターンで終わる。

 「ルパン葬送曲」は、『ルパン三世 PART2』としてアニメ化されているが、大幅なアレンジが加えられており、ほぼ別物である。

 『ルパン三世』のアニメは今も断続的に制作されており、『ルパン三世 PART6』が2022年に放送終了したばかりだ。

 アニメには各シリーズごとに最終回があるが、特にその中でも1977年から1980年に放送された『ルパン三世 Part2』の最終回「さらば愛しきルパンよ」は人気投票企画で常に上位に名前を連ねる人気エピソードでもある。

 このエピソードの演出・脚本を手掛けた「照樹務」はアニメ界の御大・宮崎駿監督の別名義でルパンの義賊的な要素が前面に出た、同監督の『ルパン三世 カリオストロの城』にも通じるものがある。ファミリー路線『ルパン三世』の代表例と言えるだろう。

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