『ドラゴンボール』ベジータは超セレブ?  王子として生まれ、資産家女性と結婚……優雅な人生を振り返る

 鳥山明の名作漫画『ドラゴンボール』で、孫悟空の最大のライバルといえばベジータである。ピッコロ、フリーザ、セルなど数々の強敵は存在したが、ライバルと呼ぶにふさわしいのは間違いなくベジータだ。

 ベジータは惑星ベジータの王子であり、それゆえエリート意識も高い。戦闘力はサイヤ人随一で、惑星ベジータの名前をもらうほどの天才戦士もいわれる。サイヤ人編では、界王さまのもとで修行した悟空を戦闘不能な状態になるまで追い詰めた。

 そんなベジータは作中でも屈指のセレブキャラなのだ。惑星ベジータの王子として生まれたのだから、生まれながらにしてセレブである。サイヤ人を一言でいえば戦闘民族だが、何をして稼いでいるのかと言えばいわゆる地上げ屋の仕事を行っており、星を滅ぼして売りさばくのが仕事だ。ベジータはまさに不動産王と言ってもいいセレブっぷりだったはずだ。

 そして、ベジータは紆余曲折を経てブルマと結婚する。そんなブルマもまた、超絶お金持ちだ。なにしろ父とともにカプセルコーポレーションを牽引する、発明家にして経営者である。『ドラゴンボール』の世界でもトップレベルの富裕層であることは間違いない。その夫ともなれば莫大な資産を手にするのは必然だ。

 実際、ベジータはブルマと結婚後、何不自由ない暮らしを送っていた。作中では働きもせずにトレーニングに精を出す様子が描写され、ブルマが働かない夫を愚痴るシーンもあった。そのため、ベジータは最強のセレブニートという意見もある。おそらく所有する資産の額は日本円にして数兆円という規模かもしれない。

 そんなベジータだが、王として生まれ、ブルマとの結婚で巨万の富を手にしても、満足できないものがあった。それは悟空を超えるような強さを手にできなかったことである。超サイヤ人になれたのも悟空の後だったし、悟空はあの世で修行して超サイヤ人3になることもできた。常に数歩先をゆく存在であり、悔しくて仕方なかったのだ。

 最終的に魔人ブウ戦でベジータは悟空を認め、お前がナンバーワンだと評価する。これはある意味、ベジータが長年の苦悩と葛藤から解放されたシーンといえるかもしれない。

 どんなに富と名声を手にしても現状に満足せず、常に自分の理想を追い求めるベジータに男らしさを感じ、憧れを抱く人は多いのではないだろうか。『ドラゴンボール』は現代人に刺激を与え、示唆に富んだ学びをもたらしてくれる漫画である。子どもの頃に読んでいた読者も、大人になった今読み直してみると新しい発見が得られるかもしれない。

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