【漫画】悪意のない“人とのズレ”が生む悲しみ……「どこかにいるかもしれない女の子の漫画」の不思議な力
「ただうっかりしているのかわからないように」
――『どこかにいるかもしれない女の子の漫画。』という前衛的な作品はどのようにして誕生したのですか?
くにぞー:漫画賞に出すために43ページの渾身の作品を描き上げた直後に、次回作の構想が出てこなくてくすぶっていた時期に描いた漫画です。「たまには漫画賞に出さず、Twitterに上げるだけの漫画を描こう」という気持ちで描きました。
――リラックスした状態出かけた作品?
くにぞー:はい。あとは「普段メモや頭の中に溜めている複数のアイデアを消費しよう」と思って描き始め、その中に「ちょっとズレてる女の子が苦労しながら頑張る」というテーマが定まっていきました。また、タイトルは描き終えたあとに考えました。「どんな境遇や言動でも、みんな同じ世界で暮らしている」という意味を込めています。
――“どこかにいるかもしれない女の子”ことさとみはどのように作り上げましたか?
くにぞー:先述した通り、メモや頭の中に溜めているアイデアを消費しようと描いているうちにさとみのキャラができあがりました。さとみというキャラを作り上げる上で気をつけたことは、彼女がただうっかりして、人間関係が苦手なだけの女の子なのか。それとも別の何かなのか……そこは分からないように描写しました。ただ、どちらにしても彼女が私たちと同じ世界に住んでいて、同じように感情を持っているということは頭に置いて描きました。
――メダカに謎の餌をあげたり、ニャン作が死んでいることに気付いていなかったりなど、気になる要素が散りばめられていました。あえて説明しなかった意図を教えてください。
くにぞー:詳細が見えないことによって異様さが増す作品が好きなので、あえて描かないということはよくやります。本作でもそういう狙いでやりました。
――さとみの言動はかなりストレートなものが多かったですが、意識したことは?
くにぞー:あくまで悪意なく、なるべく純粋な行動原理で動くように描きました。
――SNSでは様々な反応が寄せられていましたが、この反響にはどのように感じていますか?
くにぞー:正直、自分は完全にフィクションとして描いたつもりですが、「身の回りに心当たりがある」という人が多くて驚きました。
――最後に今後の目標など教えてください!
くにぞー:人気になれるように頑張ります!