タロットに導かれた歌い手たちのミステリアスファンタジー 多次元プロジェクト『Arcanamusica』って一体何?

   集英社とエイベックス・エンタテインメントによる多次元プロジェクト『Arcanamusica』。2月22日にプロジェクト始動1周年を迎えたばかりの、タロットカードをモチーフに、音楽、マンガ、Short StoryやSNSと様々な展開をしている注目のキャラクターコンテンツである。

 突如スマートフォンに現れたアプリ「アルカナムジカ」をきっかけに、私たちと同じような日常を送る登場人物たちが歌い手として活動していく様を描いていく本作。

 つい先日、本編となるマンガの1章が完結を迎え、SNSでは第三者視点で世界観を伝えるSS(ショートストーリー)が公開されたばかり。

 謎めく『Arcanamusica』の世界の魅力を、今回はマンガとSS、2つの物語からひも解いていく。

登場人物は皆『普通の人』? 歌い手として活動する彼らの日常

 メインストーリーとなるマンガは現在『マンガMee』や各電子書店で配信されており、前日譚であるChapter 0では歌い手たちが送る日常や作中に登場する「アルカナムジカ」に出会うきっかけなどが描かれた。

 そこで描かれていた彼らの日常は、どれも私たち読者が共感するようなものばかり。

 たとえば、Chapter 1からは主人公として描かれる川和静(RiZ/CV.波多野翔)の職業はプログラマー。

 多忙な日々に追われている彼は、会社員として働く姿とは別にどこかのバーで歌っているような様子も描かれている。仕事熱心というわけではないけれど真面目で、人に頼られてしまうとついつい応えてしまい、気づけばタスクが山積みに……。デスクに並ぶ栄養ドリンクの空き缶も、彼の多忙さを物語っている。

 読者の中にも、そんな川和の日常にどこか親近感を感じる人は意外と多いのではないだろうか。どこかキラキラとした存在や、私たちにとっては遠い世界の人達が描かれることも多いキャラクターコンテンツにおいて、川和静という存在は『Arcanamusica』の世界がまるで隣り合わせの現実かのように思わせてくれる。

 親近感を覚えるのは川和だけではない。

 配信者という華やかな職業ながら、お酒の勢いを借りてもやもやを払拭させているかのような苺宮楽ノ進(闇殿≪ダークパレス≫/CV.ROβiN)、若手芸人としてバイトをしながらも「有名になりたい」と夢に向かって日々励んでいる渋吉陸玖(シブキチ/CV.白石康介)、エリート弁護士という立場でありながら何かを抱えている様子の獣条一希(レッジェ/CV.幡野智宏)、教師として生徒に頼られながらも、どこか心にひっかかりを覚えている様子の五十島慈(いっくん/CV.坂上晶)……。

 皆それぞれの日常を過ごす彼らは、アルカナムジカでは別の人物であるかのようにアルカナネームを名乗り、何かを求めて歌い手として歌を届けようとしている。

 Chapter 0からは、そんな彼らの内面を垣間見ることができた。

招待されたディスティニーゲーム、その目的は?

 つづくChapter 1では、早速5人の歌い手がアプリ・アルカナムジカの運営会社であるワンダフルネストからの招待で一同に会すこととなった。

 彼らに与えられたのは、「ディスティニーゲーム」というアプリの特別コンテンツへの参加資格。
   
 どうやらプレミアム会員向けの配信企画とのことだが……ここではプレミアム会員のことも、ディスティニーゲームのことも、ワンダフルネストが一体どういった会社であるのかも一切語られない。

 そもそものアプリ取得の経緯から謎だったアルカナムジカは、ここにきて更に謎を深めていく。

 一般人が突然思いもよらないゲームに巻き込まれる……というのはよくある展開といえばそうだけれど、ディスティニーゲームは決して人の命や運命をかけるような大げさなものではない。ただ、勝利すると特別な新曲が与えられる、という。

キーワードは”歌”。多彩な楽曲が織り成す世界観

 「Arcanamusica」において、歌というのはとても重要な意味を持っている。

 それはタイトルの中に、『musica』=ラテン語で音楽を示す言葉が入っていることからも、彼らが不思議なできごとに巻き込まれていくきっかけが「音楽配信アプリ」ということからも窺えるだろう。

 歌い手である5人に与えられた曲はどれも、彼ら自身が「これは自分の曲だ」と感じる曲であるようなことが、作品中では匂わされている。

 特にそれが顕著なのが川和だ。

 彼に最初に与えられた曲は『My role』。それを聴いた川和は、「これは 俺の曲だ」とはっきり言葉にしている。

 アルカナムジカに与えられた音楽が、川和をはじめ歌い手たちにとってどれほど大きな意味をもたらしているのかも、マンガから読み取ることができる。

 マンガは今のところChapter 1-5まで更新されており、ディスティニーゲームの勝者に曲が与えられたところで一区切りとなっている。

 ゲームの末、誰が新曲を手に入れたのか……は、マンガを読んでのお楽しみ。

 更に、それがどんな曲なのかという期待にも応えてくれるのが『Arcanamusica』のいいところ。2023年2月22日に発売となったファーストアルバム『SPREAD』の通常盤のボイスドラマパートでは、ディスティニーゲームの後日談が描かれており、彼らが手に入れた楽曲と合わせて楽しむことができる。

 また、Twitterと公式サイトでは物語の世界をより深く知ることのできるShort Storyの更新も始まった。

 3月末に更新された#001と#002の主人公は、どちらも名前のない人物――「アルカナムジカ」と、そこで活躍する歌い手を応援するファンを視点にした物語となっている。

 5人の歌い手の歌は、ファンにどのように届いているのか。そしてファンは、どんな想いを持って彼らを応援しているのか。

 「アルカナムジカ」のアプリの詳細なども初めて明かされたShort Storyは、作品の世界の解像度を上げるなら必見の内容。いわゆる”推し”がいる人にとっては、共感性も高く、ますます『Arcanamusica』の世界を身近に感じられるようになるかもしれない。

■『Arcanamusica』Short Story
https://arcanamusica.jp/comic/#novel_area

新メンバーの加入も決定! 注目の新曲も

 Chapter 0、Chapter 1と川和静を中心に5人の歌い手たちの物語が紡がれてきた『Arcanamusica』だが、1周年を迎えた2月には新メンバーの加入も発表された。
 時を同じくして、Twitterや公式サイトでは相関図も公開。

 8人の歌い手たちの関係性にも注目が集まっている。

 新メンバーはお笑い芸人である切沢玲央斗/タイガー(CV.小野友樹)、斑目ジュナ/テティス(CV.寺島惇太)、伊調弦八/アリア(CV.蒼井翔太)の3人。

 彼らがこれからどのように物語に関わってくるのかは期待が高まるところだが、同時に新メンバーの歌にも合わせて注目していきたい。

音楽と物語が絡み合う。『Arcanamusica』はまさに多次元なコンテンツ!

 これまで紹介してきた通り、音楽が物語に、そして物語が音楽に、双方の絡み合いも魅力的な『Arcanamusica』の世界。

 物語は動き出したばかりで未だ明らかになっていないことも多いが、 その分まだまだこれから追いかけていく楽しみもある。

 キャラクター、楽曲、物語と、言葉通り”多”次元に世界を広げ、さまざまな魅力を見せてくれる『Arcanamusica』。

 散らばったパズルのピースを少しずつ埋めていくように、考察をしてみるのも面白いかもしれない。

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