【漫画】『家族対抗殺戮合戦』はセンセーショナルなだけじゃない! 現代ホラーの鬼才が描く電子コミックの隠れた名作

最初の殺戮合戦で負けてしまった主人公の家族はどう動くか

 現時点のピッコマを例にあげると、3話まで無料で読めて4話から33話までは毎日1話ずつ無料で読める。(2023年4月1日時点。今後変動する可能性がある)

 3話では最初のレクリエーションが行われ鞠山家が7家族中最下位になり、1週間以内に家族からひとりを生贄にしなければならなくなる。

 選ぶ権利は鞠山家にある。しかし選べないと家族全員殺されてしまう。

 雅彦、雅彦の妻、中学生の娘、小学生の息子、そして認知症を患っている雅彦の母。だれかひとり、死ななければならないのだ。悩んだすえ、鞠山家が出した結論は……。

 だれかが死んでも、極限状態のなかで物語は進んでいく。

 本作の設定は練りこまれている。町にたくさんの住民がいるなかで、なぜこの7家族が選ばれたのか、子どもたちだけでも守りたいと願う雅彦を含めた大人たちはどのような行動をとるのか。

 気がつけばどんどんと読み進めてしまうのだが、結末を見て「ああ!」と声をあげる人もいるかもしれない。終盤、ヒューマンドラマになりつつあったところで落とすのはホラーの鉄則であり、作者はそれを踏まえたうえで物語を編み出している。

 思えば本作だけではなく、『走馬灯株式会社』も『鉄民』も『隣町のカタストロフ』もそうだった。

現代ホラーの担い手、菅原圭太

 楳図かずお、丸尾末広、伊藤順二、犬木加奈子……昭和や平成を代表するホラー漫画家だ。平成から令和にかけて、その並びに菅原敬太は必ず入ると私は確信している。

 読者もきっとそうなる。気がつけば『家族対抗殺戮合戦』をどんどんと読み進め、ほかの菅原作品も気になっている自分に気づくだろう。

 現在の菅原作品はすべて完結しているため一気読みできるのも嬉しいが、新作がどうしても待ち遠しくなってしまう。菅原敬太が描くホラー漫画の魅力ははかりしれないのだ。

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