スピンオフ量産の『刃牙』シリーズ、期待したい“次の主人公”は? 鎬紅葉や天内悠の活躍にも期待
人気格闘漫画『刃牙』シリーズより、スピンオフ(外伝)作品『バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ』7巻と『バキ外伝 ガイアとシコルスキー ~ときどきノムラ 二人だけど三人暮らし~」1巻が3月8日、発売された。
強烈なキャラクターの多さと作者・板垣恵介の寛容さから、多くのスピンオフ作品が生まれている『刃牙』シリーズ。花山薫から愚地独歩、上記の烈海王にガイア&シコルスキー、最新のものでは「チャンピオンRED」2023年4月号より連載中の『バキ外伝 花のチハル』でフィーチャーされている柴千春まで、多数のキャラクターがそれぞれの作品で主役を張っている。なかでも異世界に転生した烈海王、不思議な共同生活を送るガイアとシコルスキーは、格闘漫画の枠を超えた新たな魅力を放ってきた。
こうなれば、人気キャラクターはすべて主役になってほしい、と期待してしまう。例えば、主人公・範馬刃牙の父親にして、地上最強の生物である範馬勇次郎。こちらは本編の“永遠のラスボス”という立ち位置から謎に包まれているべき部分があり、実現は難しいかもしれないが、子ども時代のトンデモエピソードはまとめられてもよさそうだ。とてつもない膂力を示す逸話は多く語られているので、「頭のよさ」にフォーカスした話も読んでみたい。
人気漫画のスピンオフといえば、『野原ひろし 昼メシの流儀』(クレヨンしんちゃん)や、『1日外出録 ハンチョウ』(『カイジ』シリーズ)など、サブキャラクターの「食事」をメインに据えたものも人気を博している。『刃牙』シリーズも食事シーンに印象的なものが多く、人生の全てを投げ打って体を巨大化させてきたジャック·ハンマーや、作中随一の巨漢であるビスケット·オリバの食生活を覗き見するのも楽しそうだ。「野食」への関心が高まるなかで、ガイアやピクルの「サバイバルグルメ」というのもいいかもしれない。
変わったところでは、医師兼ファイターの鎬紅葉を主人公に据えると、破天荒な医療漫画が誕生しそうだ。地下闘技場を仕切る徳川光成が主人公ならビジネス/政治の骨太な作品になるかもしれないし、期待の大きい登場から見事な咬ませ犬になってしまった米大統領のボディガード・天内悠のやや情けない奮闘劇も、スピンオフなら成立するかもしれない。
実戦合気柔術の達人・渋川剛気や、中国武術界の頂点を極めた郭海皇など、大ベテランたちの若き日々も気になるところだ。両キャラクターとも、見た目は好々爺と言えるが、戦いに並々ならぬ執念を持ち、若い頃はかなり尖っていた様子。断片的なエピソードも楽しいが、一つの物語としてまとめて読んでみたい。
こうして語り始めたらキリがないほど、ストレートな意味でも、ネタ的な意味でも気になるキャラクターが多い『刃牙』シリーズ。スピンオフが量産されるなかで、ファンの妄想や希望にも一定の実現性があるのが面白いところだ。皆さんなら、いったいどのキャラクターを主人公に据えた作品を読んでみたいだろうか。