『美味しんぼ』クセ強キャラが多い中、ベスト・オブ・「良心」と言えるのは誰?


 海原雄山や山岡士郎など、クセの強い人物が多数登場する漫画『美味しんぼ』。食が大きなテーマだが、若干ぶっ飛んだ登場人物による予想不可能な行動と言動も、大きな見どころだった。

 クセが強く「全員がぶっ飛んでいる」という声もある『美味しんぼ』の登場人物。そのなかで最も真面目で「良心」と呼べる存在は誰なのだろうか。

岡星精一(料理屋「岡星」店主)

 山岡士郎がもっと信頼する料理人、岡星精一。料理の腕は海原雄山など食通の人物たちに高く評価されている。

 そんな岡星の性格は物静かで、他人に喧嘩を売るような描写はほとんどない。また、異性関係も行方不明になった冬美を思い続け、料理道に邁進。なにかと気弱で美食倶楽部を逃げてくることもあった弟・良三にも頭ごなしに否定をせず、的確にアドバイスをしながら温かく見守っていた。

 また、喧嘩をする山岡と栗田をたしなめたことも1度や2度ではなかった。うつ病になったこともあったが、それも彼の真面目さが故の出来事。「美味しんぼの良心」といえば、やはり岡星の名前が挙がってくる。

中川(美食倶楽部調理主任)

 美食倶楽部の調理主任を務め、雄山から絶大な信頼を受けている中川。雄山のマネージャー的な役割も務めているようで、必ず同行している。

 初期の雄山はかなり傍若無人で、厳しい要求をされることもあったが、中川が歯向かったことはほとんどない。雄山から叱責を受けた岡星良三など板前陣をかばい続け、なんとか退職しないよう奔走する描写も見られた。

 雄山の息子である山岡とも懇意で、年齢が上にもかかわらず「若」「士郎様」と敬語で接している。また妻のチヨとは仲が良く、しかも亭主関白ではなく尻に敷かれている様子。雄山や山岡から信頼を受け、そして美食倶楽部の調理人に慕われる人間性は登場人物のなかでも随一のものがある。

谷村部長(東西新聞社文化部部長)

 東西新聞社文化部部長で、山岡士郎と栗田ゆう子の上司である谷村部長だ。

 富井副部長や山岡士郎などなにかとお騒がせな部下に困惑する描写は多々あったが、理不尽に叱責する、パワーハラスメントをするなどの行為は見られなかった。それどころかアニメ版では、後部座席で酒を飲む山岡と富井副部長を引き連れて車を運転する描写も。

 温厚な性格とは裏腹に業務遂行能力は高く、雄山から突如翌日に優れた天ぷら職人数名、しかも山岡・雄山と面識がない人物を集めるよう依頼され、即座に場所と職人を揃えている。また、山岡と栗田が恋愛を巡って仲違いした際には、厳しい言葉をかけたこともあった。

はるさん(料理屋「はる」店主)

 山岡と栗田が住むマンションの1階で小料理屋を営むはるさん。山岡から「因業大家」と罵られた癖のある大家・尾沢平助と再婚した人物で、創作料理と優しさに定評がある。

 新婚の山岡が栗田の作った料理にダメ出しをして険悪になった際には、自身の料理で仲直りのきっかけを与えている。その後も山岡・栗田の良き相談相手となっていた。

 クセの強い登場人物が多いのは事実だが、心優しき人物も実はいる『美味しんぼ』。良心たちの活躍を見返してみるのも、悪くないかも。

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