冨永愛、2014年刊行の自伝に脚光 成田悠輔も衝撃を受けた“闘い”の記録を読む
NHKドラマ10『大奥』での演技が好評を呼んでいる、モデルで俳優の冨永愛。メディアでの露出も増えており、2014年に刊行された衝撃の自伝『Ai 愛なんて 大っ嫌い』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)に注目が集まっている。1月13日現在、Kindleストアのエッセー・随筆ランキングで2位に浮上している状況だ。
セールスの直接的な要因として、YouTubeチャンネル「日経テレ東大学」で配信中の人気トーク番組『Re:Hack(リハック)』(MC:成田悠輔/ひろゆき)でこの自伝がフィーチャーされたことが挙げられる。
ゲストとして登場した冨永に、MCの成田悠輔が珍しく浮き足立った様子で「数少ない憧れの方」と語り、『Ai 愛なんて 大っ嫌い』を「けっこうガチで、相当熟読している」として、「言葉一つひとつのシャープさ、重さというか、ガンとダメージがくる感じ」と評していた。動画の前編は公開から2週間で約180万再生を記録しており、実際に冨永の自伝を購入した視聴者は少なくなかっただろう。
「殺してやるーー。絶対にぶっ殺してやる。許さない。」
冒頭、そんな衝撃的な言葉から始まる『Ai 愛なんて 大っ嫌い』は、冨永の幼少期からスーパーモデルとしての奮闘、ランウェイを離れ新しい道に進むまでの“闘い”を赤裸々に綴ったものだ。どの瞬間を切り取ってもドラマになりそうな記録で、特殊といえる家庭環境から、突出した体型にかかわる酷いいじめ、ファッション業界での偏見や人種差別まで、彼女を深く傷つけ、「復讐」に駆り立てたエピソードに胸を締めつけられる。
一方で興味深いのは、冨永が結果として掴み取った成功を「復讐の達成(見返してやった)」として誇るのではなく、「自立したかっこいい女性」という評価すら拒絶していることだ。さまざまな理不尽に対する「怒り」や「憎しみ」を強調しながら、同時に「自戒の念」や「罪悪感」が書き綴られており、合わせて現在の冨永の姿を見ると、もしかしたらそれなりにあるかもしれない「勝ち気/尊大」「神経質」のようなイメージは霧散する。『Re:Hack』でも、ひろゆきの無配慮にも思える質問に対して、気にするそぶりもなく笑いながら答える姿が印象的だった。
本作を読むと、『大奥』での凛とした演技だけでなく、「冨永愛」という人物そのものを追いかける楽しさも生まれるはずだ。一般メディアへの露出も増えているこのタイミングで、チェックしてみてはいかがだろう。