〈追悼〉『SLAM DUNK』赤木剛憲に『ターちゃん』梁師範ーー声優・梁田清之さんの名演を振り返る

 声優の梁田清之さんが亡くなっていたことが、11月21日、真殿光昭さんのTwitterで伝えられた。梁田さんがフリーランスだったため、ご家族の意向により、生前、親交のあった真殿さんが報告することになったという。多くの業界関係者、同業者やファンが、早すぎる別れを惜しむ声をあげており、声優としての信頼感とともに、その人柄でも愛されていたことが伝わってくる。

 梁田さんは1987年に声優としてデビューし、多くの人気キャラクターを演じてきた。12月3日に映画の公開が迫る『SLAM DUNK』のテレビアニメ版で、湘北高校のキャプテンにして不動のセンター、“ゴリ”こと赤木剛憲役を演じており、同作がYouTubeで期間限定公開されていることもあって、直近でその力強く優しい演技に触れていた人も多かっただろう。三井寿役で共演していた置鮎龍太郎さんは、「梁田さんが演じる赤木と同じ学年でタメを張らなきゃ行けない、呼び捨てにできる心の距離感で。とか、役作りに大きく影響を与えてくださいました。他にも沢山沢山。有り難うございました。ずっと忘れません。」とツイートしている。

 心に残る演技を振り返ると、枚挙にいとまがない。他にも梁田さんは、『BLEACH』握菱鉄裁(テッサイ)や『ジャングルの王者ターちゃん♡』梁師範など、「ギャグ的要素」と「確かな実力」という二面性を持つ人気キャラクターを好演。またその威厳のある声は、『絶対無敵ライジンオー』(篠田俊太郎/ベルゼブ)、『熱血最強ゴウザウラー』(原子王/デスグロッグ/洋二の父)、『救命戦士ナノセイバー』(五蔵)などのヒーロー/ロボットアニメや、特撮作品にも欠かせないものだった。

 ゲーム作品では、『アークザラッドII』のイーガ・ラマダギア、『ジョジョの奇妙な冒険』の空条承太郎、また『悪魔城ドラキュラ』シリーズ/『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』のリヒター・ベルモンドなどの渋い演技が記憶に残る。

 ある人は『爆れつハンター』のガトー・モカ(真殿さんはマロン・グラッセ役で共演)を思い浮かべるだろうし、またある人は『鎧伝サムライトルーパー』の鬼魔将朱天を思い起こすかもしれない。多くのキャラクターに命を吹き込み、無二の声で作品を彩った梁田清之さんのご冥福を、心よりお祈りいたします。

関連記事