【漫画】近未来の少子化政策、国家が人を生み育てる? ディストピア漫画『ランダムフラスコベイビーズ』の問いかけ

ーー作品のボリュームもさることながら、1つひとつのエピソードの濃さを感じた作品でした。創作のきっかけを教えてください。

コガッツオ:7年ほど前にひとつの漫画作品をつくったのですが、それは本作とは対照的に「この制度が悪い」といったことをテーマとした作品でした。7年前の自分が考えていたテーマとは反対のことを描きたいと思うようになり、本作を創作しました。

ーーもともと100ページ以上の作品を描こうと思っていたのでしょうか。

コガッツオ:構想段階では40ページほどの作品をつくろうと思っていました。選択したテーマが重いものとなってしまったため、テーマに見合うものを描いた結果として140ページの作品になったという感じです。

ーー製作期間はどのくらいかかりましたか。

コガッツオ:ちょうど1年くらいですね。構想とは言ったものの、漫画を描きながらストーリーの展開を考えて作品をつくっていました。

ー-本作のテーマについて教えてください。

コガッツオ:台詞で書いた通り、「皆人間であると/良き隣人であると/お互いが(信じること)」です。強いて言うならば、最後のシーンを描きたいという思いは本作を構想し始めた段階からありました。なぜこのテーマで作品を描きたいと思ったのかは、1年以上前の記憶であるため思い出せませんが……。

ーー作品を描き上げるまでの1年間はどんな期間でしたか?

コガッツオ:久しぶりにまっとうな社会人のような生活ができたので健康になりました。20時には帰宅し、漫画を描いて、夜に眠る。そんな生活を送るなかで体調がとても改善しました。漫画を描く前に不規則な生活をしていたことも起因していますが……。

 お話しすることはできないのですが、私は一切嘘をつくことができない職業に就いていることもあり、漫画というフィクションをつくる過程で自由に嘘をつけることが楽しかったです。

ーーランダムフラスコベイビーズに対する批判に対し、アナンダが発した「あなたが見たのはごく一部の意見です!」という言葉が印象に残っています。

コガッツオ:ボクサーのマイク・タイソンの「お前らは他人をバカにしても顔面を殴られない環境に慣れすぎている」といった内容の言葉が好きで、マイク・タイソンの言葉からこのシーンの着想は来ていたと思います。

ーーエリたちを教育するアナンダを機械として描いた背景を教えてください。

コガッツオ:本作の冒頭で教育のコストが上がり続けていると描きましたが、これは私自身が感じていることです。教育に対するコストが上がり続けた際には、もしかしたら将来的に相当な処理演算能力のある存在でないと教育することができないかもしれない。そんなことを想像しながら、機械の教育者としてアナンダという存在を描きました。

ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。

コガッツオ:大学1〜2年生ごろから趣味として漫画を描いていました。描きはじめた経緯としては暇だったからです。

 現在の仕事ではデータに基づいて、ストーリーをつくり結論を導き出すことが多いです。漫画においても創作したエピソード・シーンを組み立てて、ストーリーをつくり結論を導き出すという工程で作品をつくっています。同業者に漫画を描かせてみれば、それなりの作品を創作することができると思います。

ーー数多く感想が寄せられるなど、本作の反響は非常に大きいものであったと思います。今反響に対する感想を教えてください。

コガッツオ:シンプルにうれしかったですね。もっと賛否両論になるかと思っていたので、自分の言いたかったことが伝わって良かったです。

ーー今後の活動について教えてください。

コガッツオ:現在も少しずつ漫画を描いているので、これからも仕事を続けながら漫画を描ければと思います。

関連記事