金田一ファンは『金田一37歳の事件簿』を読むべき 読者のツッコミも織り込んだ“メタ的魅力”を考察
「推理」の魅力も再確認
連載された時期から20年近い歳月が経ち、テクノロジーは進化。“推理”というアナログな手段に頼らずとも、解決できる事件の幅は広がっている。『金田一37歳の事件簿』ではそうした時間の流れも織り込まれており、「タワマンマダム殺人事件」では、推理を駆使して徐々に犯人を追い込む一に対して、犯人はDNA鑑定や科学捜査が進歩したことに触れ、「今の時代だったらそういう“推理”って あんまり意味がないのかもしれないですね~!」と口にする。
精度の高い監視カメラが多く設置されるなど、狡猾な犯人でもテクノロジーの網から逃れることは難しくなってきた。しかし、そんななかでも有効なトリックは存在する。『金田一37歳の事件簿』では、犯人の何気ない言動に違和感を持ち、そこから仮説を立てて真相に迫っていくという、人間にしかできない「推理」の必要性がしっかりと描かれている。
一は過去のトラウマを抱えており、推理には後ろ向きな姿勢を見せているが、その理由はまだ明らかになっていない。また、『金田一少年の事件簿』の絶対的なヒロイン・美雪も姿を見せておらず、今後の楽しみが山積みである。ドラマやスピンオフなどを楽しみにしつつ、連載再開を待ちたい。