2022.06.01 12:00

miwaが『サクラ、サク。』コラボ曲「Bloom」で描いた恋の始まり　咲坂伊緒の作品に惹かれる理由も

文・取材＝満島エリオ

「Bloom」は過去や未来を思い浮かべて聴いてほしい

――miwaさんの最近の活動についてもお聞きしたいのですが、アルバム『Sparkle』をリリースした後、『JAPAN JAM 2022』や『INSIDE THE FIRST TAKE』などのフェスやイベントにも出演していましたね。

miwa：『JAPAN JAM』には、昨年に続いて出演させていただいたんですが、去年よりも参加されているお客さんが多くて、以前のフェスの雰囲気が徐々に戻ってきたのを感じました。去年はお客さんも覚悟して来たような雰囲気があったし、私も改めて音楽やフェスがある意味を重く受け止めながら出演したので、お互い緊張感を持っていました。今年ももちろん声は出せないし、人との距離も取らなければいけない状況ではあったんですが、その中でも、エンターテインメントとしてのフェスを純粋に楽しもうという雰囲気が出ているように思いましたね。

――一方、『INSIDE THE FIRST TAKE』はイベント自体が初の試みでした。

miwa：「THE FIRST TAKEを見る」というコンセプトなので、『INSIDE THE FIRST TAKE』は拍手も声援もしないのがルール。お客さんも物音を立ててはいけないので、声を出すどころか咳払いやくしゃみにも気をつけないといけない。それに、暗転せずにずっと明るいところで歌うのもこのイベントならではですね。フェスともライブとも違う、特殊なコンテンツが始まったなと思いますね。

――コロナ禍とはまた違った緊迫感がありますね。

miwa：映像として残すものなので、お客さんもそこに立ち会う責任があるから、静かに固唾をのんで見守るような雰囲気がありました。でも、普段画面越しにデバイスを通して楽しんでいたものを生で見るのはとっても迫力があったと思うし、生でしか感じられないものを受け取ってくれたんじゃないかなと思います。

――コロナ禍で生まれた新しい文化ですね。

miwa：それがこれからはスタンダードになっていくんだとも思うので、本当に時代の変わり目に立っていると感じましたね。今までのテレビやライブ収録とはちがう、新しいコンテンツが生まれていると肌で感じました。

――miwaさんが最初に出演されたのは「THE HOME TAKE」でしたよね。

miwa：そうなんです。それもまた違った雰囲気でしたね。当時は本当に家にいなきゃいけない状況だったので、スタジオに行かず、自宅で録るという趣旨でした。でも、それが今できることだなと思ったので、すぐ「やります」とお返事して、自宅から弾き語りで歌いました。

――そんなふうにコロナに見舞われた2年間を挟み、『Sparkle』は約5年ぶりのアルバムとなりました。リリースされてからの反響はいかがでしたか？

miwa：ファンの方は新曲を待ってくれていた感じがしましたし、私も「やっと聴いてもらえた」と思いました。東名阪でアルバムツアーもやったんですが、ツアーも3年ぶりだったので、やっとファンの皆さんに会えたなと。アルバム曲を直接届けられたことも、ファンの方との関わりが増えたこともとても嬉しいなと思いました。

――コロナ以前の動き方に戻ってきたような感覚でしょうか？

miwa：有観客のツアーもできましたし、テレビ出演もできたので、一時期よりは戻ってきた感じはありますね。でも、久しぶりにCDショップを回ったんですが、2、3年前と比べるとお客さんが少ない印象を受けました。CDを買うこと自体も減っている気がしていますし、買うとしてもオンラインショップが増えてるんだろうなと。

――曲もストリーミングで1曲ずつ聴くことが増えてますし、音楽の聴き方も変わってきましたね。

miwa：それは時代の流れだし、そういうものだと思います。ただ、私もストリーミングで聴いたり、CDをオンラインショップで買ったりするので気持ちがわかる一方で、CDショップがなくなっちゃったら淋しいなとも思うので、複雑ですね。CDや音楽に限らず、書籍も本屋さんで買うのか電子書籍を買うのかなど、色々なところで時代の流れが変わってきているなと思っています。でも、本屋さんで平置きされていると探すのが便利だったり、ポップでお店の推しがわかったり、両方のよさがあるなと感じます。

――アルバムリリース後、初の新曲が今回の「Bloom」となりましたが、約5年ぶりにアルバムを出したことで気持ちが切り替わった部分はありましたか？

miwa：アルバムは、準備していたけどずっと出せずにいたものをやっと出せた、という感覚ですね。久しぶりにメンバーとツアーを回るのも楽しかったですし、また新しい曲を書いていこう、という気持ちになりました。

――改めて、「Bloom」を通じて、リスナーや『サクラ、サク。』の読者に伝えたいことはありますか？

miwa：誰かに恋する時の、自分の中で花が咲いていくような気持ちを表現しているので、「こういう気持ち、感じたことあるな」と過去を思い出したり、「こういう気持ちになってみたいな」と未来のことを思い浮かべたりしてもらえたらいいなと思っています。