『SPY×FAMILY』アーニャはなぜ級友を魅了する? ヒエラルキーに無頓着な異邦人として存在感を考察

 ダミアンを殴ったことについて、規律に厳しいヘンダーソン先生はアーニャを問いただす。その際にアーニャは、「(ダミアンが)このこ(ベッキー)のあし/ふんでたから…」と、嘘とも真実とも言い難い“供述”をする。するとベッキーは「あたしのために…⁉」と心の中で発し、涙を浮かべるのだった。

 ベッキーも使用人の運転する車で送迎される様子が描かれており、自身が上層階級であることを強く意識している。ダミアンたちに庶民だと馬鹿にされても「フッ」と発しニヤニヤするアーニャを見て、ベッキーは「余裕…!オトナの余裕だわ!」と評価する場面も。勘違いも含みつつ、しかし自分たちと明らかに違う価値基準で生きている“異邦人”であるアーニャは、彼女にとっても魅力的に映るようだ。

 今後の展開についてはネタバレを控えるが、アーニャは、自身に課せられたミッションは意識しながら、校内で重要視される社会的地位/ヒエラルキーには基本的に無頓着で、日常では損得勘定なしに純粋な言動を見せる。階級社会と家庭環境により、ませて育ってきたクラスメイトたちからすれば異質/新鮮な存在で、「気になる」が「好意」に変わるのも時間の問題。その意味で、アーニャは黄昏が「オペレーション〈 梟 ストリクス 〉」を遂行する上で、理想的な”娘役”だったといえるだろう。

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